研究課題/領域番号 |
17K02862
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
金田 智子 学習院大学, 文学部, 教授 (50304457)
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研究分担者 |
文野 峯子 人間環境大学, 人間環境学部, 教授 (10310608)
山口 昌也 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (30302920)
森 篤嗣 京都外国語大学, 外国語学部, 教授 (30407209)
佐藤 学 学習院大学, 文学部, 教授 (70135424)
岩田 一成 聖心女子大学, 文学部, 准教授 (70509067)
中上 亜樹 国士舘大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (90581322)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 日本語教師 / 研修 / 漫画教材 / 授業映像 / PAC分析 / 実践的思考様式 |
研究実績の概要 |
日本語教師(地域日本語教室等における支援者や、日本語教師志望者も含まれる)向けの研修用教材2種の試作・修正を行った。1つは、授業の実態を漫画化しタスクを設け、解説を付けたものである。当初、漫画に3つ程度のタスクを設け、研修等で使用したところ、漫画教材を用いた研修には肯定的な意見が多かったが、教材中のタスクに含まれる質問に対する回答や反応に偏りが見られ、新たな気づきを得たり思考を深めたりといったことが困難という課題が明らかとなった。これを解決すべく、実際に研修で使用する際に、判断保留や複眼的思考が可能となるような質問、ゆさぶり発問的な問いかけを行ってみることにし、研修用漫画教材を使用する際の手順に加え、試行した。 もう1つは、FishWatchr(映像データに対してアノテーションし、その結果について複数の参加者が分析・議論できるアプリケーション)をスマートフォンでも使用できるようにしたFishWatchrMiniである。2017年度は研修における使用は行っていない。2018年度に実際に授業の映像データを組み込み、研修で試用する計画である。 研修参加者が自身の考え方を見直すことと、研修効果を探ることを目的に、PAC分析の手法を応用したタスクを研修プロセスの中に盛り込むべく、タスクシートを作成した。本科研で作成した教材を用いた研修は、科研代表者と分担者が企画し研修参加者を募るものと、他の団体が企画する研修の講師として出向く場合とがある。2017年度は前者のみ実施したが、後者について公募を行ったところ、2018年度実施に向けて、5団体から依頼があった。2018年度においては、それぞれの研修を本格実施し、研修方法の効果の検証を行う計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概要で述べた通り、FishWatchrMiniを用いた研修は実施しなかった。漫画教材を用いた研修試行は3回行った。ただし、研修参加者数が限られており、十分なデータは得られておらず、研修効果を探ることや参加者の内省に関する分析は不十分である。 PAC分析を研修参加者に実施するには、研修企画者や参加者との関係づくりが重要であるため、PAC分析そのものの実施は、本研究の目的等を十分に理解した参加者に限ることとした。しかし、PAC分析は自分自身の実践的思考様式を振り返ることが可能な手法であると考え、その応用的な活動を考案した。また、漫画教材を用いた研修については、既存タスクの問題点を解決するための新たな方策を検討し、すでに研修方法に反映している。
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今後の研究の推進方策 |
研修を重ねつつ、その効果を探求する。具体的には以下のことを行う。 1.漫画教材を用いた研修、FishWatchrMiniを用いた研修をそれぞれ行う。研修プロセスにPAC分析の手法を用いた活動を組み込み、自身の実践的思考様式の振り返りを行う助けとする。 2.上記1で行う研修で得られたデータ(タスク回答、研修映像データ映像、文字化資料等)を分析し、研修効果を探る。2つのタイプの教材の影響について、その相違に着目した分析を行う。 3.研修参加者に対しPAC分析を行い、個々の実践的思考様式の実際と研修による変化を探る。 4.国内外の学会において、作成教材の公表と意見聴取、研修参加者の実践的思考様式の分析結果等の発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していた研修について、公募型研修に対する応募組織はあったが、すべて次年度(2018年度)実施を希望するものであったため、2017年度内での実施に至らなかった。これらはすべて2018年度に実施する計画である。また、本研究組織が企画・実施した研修について、参加者に対するPAC分析を行う予定であったが、実施に一人当たり数時間を要する従来のPAC分析を実施するのは適当でないと判断した。2018年度は、PAC分析の考え方を応用した活動を参加者全体に実施した上で、そのうちの数名の協力者に対してPAC分析を行う予定である。
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