研究課題
現職日本語教師を対象とした研修において、実際の授業の様子を撮影・分析した結果を基にした教材(漫画教材)を用いることにより、どういった意識変容が期待できるのか、さらには、いかなる問いかけや活動が変容に影響をもたらすのかについて明らかにすることが本研究の目的であった。最終年度では、以下の活動を行った。1.データの文字化作業と分析:地域日本語教室のコーディネーター、指導者及び支援者向けの研修で収集したデータ(研修の映像データ、やりとりの録音データ)の文字化及びFOCUS(アメリカの言語教育学者J.F.Fanselowが開発した授業分析手法)によるコーディングを進めた。FOCUSによるコーディングは、研修時、実施者がどういった指示や問いかけ、反応を行っているか、研修参加者がどのような機能を持つ発話を行っているかを分析するための基礎資料を作ることを目的としている。2.地域日本語教育のコーディネーターを対象とする研修、日本語学習支援者等を対象とする研修を担当した。これらはいずれも、本研究で軸としている漫画教材は使用せず、与えられた課題を遂行することを中心としたものである。この中でのやりとりが、漫画教材を用いた研修と異なるかを明らかにするため、映像及び音声の記録を残し、それぞれ文字化作業を行った。研究期間全体を通じて、漫画教材を用いた研修を数多く実施し、データを収集することができただけでなく、その文字化作業や分析により研修方法(指示・問いかけの方法)についての検討・改善が可能となった。また、漫画教材を用いない研修も実施している。授業データと他のデータ(日本語教師/日本語教室に対する意識に関するデータ、研修終了後アンケート)との関連についての分析、教材使用の有無による違いの分析は、研究期間終了後も引き続き行う予定である。
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西山教行・大山万容(編)『複言語教育の探究と実践』
巻: 0 ページ: 119-137
初等教育研究会編『教育研究』
巻: 77 ページ: 15-19
庵功雄(編)『「日本人の日本語」を考える』
巻: 0 ページ: 168-181
稲垣みどり・細川英雄・金泰明・杉本篤史(編)『共生社会のためのことばの教育:自由・幸福・対話・市民性』
巻: 0 ページ: 141-168