研究課題/領域番号 |
17K02865
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研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
世良 時子 成蹊大学, 大学直属, 講師 (50621794)
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研究分担者 |
堀 恵子 東洋大学, 人間科学総合研究所, 客員研究員 (70420809)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 質問 / 質問づくり / OPI / 談話構造 / OPIc / CBT / 思考 |
研究実績の概要 |
当該年度(平成30年度)の実績を,当初の目的であった1)論理的な意見述べにおける談話展開,2)学習者の談話を引き出す質問,を明らかにすること,さらに,3)CBTであるOPIcと対面式OPIの比較,に分けて述べる。 1)2)平成29年度の研究により,論理的な意見述べにおける談話展開とその談話を引き出す質問のラベリング等は,一通り明らかになった。この過程で,質問の重要性に改めて気づき,当該年度は,「質問づくり」という手法を取り入れた授業実践を中心に研究を進めた。「質問づくり」を読解,聴解,口頭能力養成等のクラスに取り入れ,その具体的な方法や効果の検証を,学習の内容面,質問を含む言語の形式面の両面から行った。内容面では、「質問づくり」を経験することにより、より深い思考が促されていることが示唆された。言語形式の面では、口頭発表における「~でしょうか」などに代表される学習者の習得が進みにくい形式について分析し、これらの習得を進めていく方法を検討した。 また,研究を進めると同時に,「質問づくり」に関するワークショップの実施も行い,広く発信することに努めた。 3)OPIcデータについては,データアクセスについて,試験主催団体と交渉を行った。実際に,どのような方針でどのような対応を取っているのかについて,対面での聞き取りも行った。その結果,CBTのデータにアクセスすることは不可能であるとわかったが,今後の研究データの範囲を絞るための指針を得ることができた。現時点では,OPIcの実施を重ねることにより判定と事前事後のアンケート分析によりデータの蓄積を図っている。2019年度にOPIcと対面OPIを行い,先行研究で述べられている学習者の両方式の好み,その理由と判定の関連等について調査する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
談話の分析については、予定以上に進み、次の段階(「質問づくり」を取り入れた実践の研究)に入っている。 OPIcのデータについては、発話データの取得は不可能であったが、判定データの蓄積は進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、質問作りの手法を取り入れた活動を行い、質問作りがどのように学習を深めることができるか、また、言語形式としての質問をどのように効果的に学習に取り込んでいくかを探り、その効果を検証していく。また、「質問づくり」についてのワークショップなどを積極的に行い、発信に努める。 OPIcデータについては、これまでのデータ採取と異なる条件でのデータ採取を行い、先行研究(スペイン語の例)で述べられている点についての分析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
OPIcのデータアクセスの交渉の結果、データ取得方法を検討し直した。その結果、今年度のデータ採取(試験実施)のうち一部を見送り、来年度そのデータ採取を行うため次年度使用額とする。
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