当該年度(平成31年度)の実績を,当初の目的であった1)論理的な意見述べにおける談話展開,2)学習者の談話を引き出す質問,を明らかにすること,さらに,3)CBTであるOPIcと対面式OPIの比較,に分けて述べる。 1)2)については,平成29年度の研究によって論理的な意見述べにおける談話展開とその談話を引き出す質問のラベリング等を,一通り明らかにすることができた。この過程で,質問の重要性に改めて気づき,平成30年度と当該年度で,「質問づくり」という手法を取り入れた授業実践を中心に研究を進めてきた。 「質問づくり」については,平成30年度に実施した読解,聴解,口頭能力養成等での具体的な方法や効果の検証をより深化させることを重視した。当該年度での具体的な成果としては,(1)批判的思考の養成を図るために,読解の授業において先行研究の質問リストを使用し,学習者の作った質問の分類を行ったこと,(2)(1)を基に,「質問リスト」作成に着手し,学習者が「質問リスト」を活用する実践へと発展させたこと,(3)プレゼンテーション作成過程における「質問づくり」を分析し,「質問づくり」によって問いを共有することが,聴衆に理解してもらうために何が重要かを意識づける役割を果たしていることを明らかにしたことなどである。 また,これらの研究を進めると同時に,「質問づくり」に関するワークショップの実施も行い,広く発信することに努めた。 3)については,当該年度もOPIcの実施を重ねることで判定結果と事前事後のアンケートのデータ蓄積を進めた。その都度,結果の分析を進めている。また,OPIc受験者に対面OPIを行い,先行研究で述べられている学習者の両方式の好み,その理由と判定の関連等について調査を行った。この結果とこれまでのOPIc実施実績とを合わせて,2020年度中に発表する予定である。
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