本研究の主目的は80名の日本語教師の授業内発話を収集し、データベース化して日本語教師発話コーパスとしてWeb上で公開することだった。途中、コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、全てを予定通りに進めることはできなかったが、5年間で計69名(約66.5時間)のデータを収集し、Web上で公開することができた。また、コーパスにデータを追加していく中で、コーパスをより使いやすくするために検索方法の改良や、HPに調査事例などを掲載するなど分かりやすく、また見やすくするための改修もおこなった。 最終年度である今年度は、本研究の成果報告を目的に第25回ヨーロッパ日本語教育シンポジウムにおいて、「日本語教師の専門性「ティーチャー・トーク」の分析―やさしい日本語との比較―」というタイトルで発表をおこなった。また発表の際のディスカッションなどを含めた内容は論文集として公開される予定であり、すでに原稿にまとめている。そのほか、研究成果の発信として、日本語教育学会秋期大会にて「日本語教師の授業内発話に関する考察―学習者への働きかけ発話の分析―」とのタイトルでポスター発表をおこなった。そして、これまでの研究成果をまとめた内容として、日本語教師の専門性「ティーチャー・トーク」の分析―日本語教師に求められる授業内での発話―(仮)を論文として執筆中である。 全体として、研究開始2年度目から研究成果の発表を目的に学会発表を7回、学術論文を5編執筆した。これらの活動を通し、コーパスの利用登録は130名程度になり、現在もその数を増やしている。利用申請の際にもとめている利用目的を見ると、研究目的も多く見られる一方で、授業内においてどのように文法、語彙を説明しているかといったことを知りたいとの記述も見られるため、このようなニーズにどのように応えるかは今後の課題としたい。
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