日本語リーディング科目(1年生の必修科目、春学期1コマ・秋学期1コマ、2クラス体制、受講生は春・秋学期ともに28名)において、「読書プロジェクト」を実施した。このプロジェクトにおいて、春学期と秋学期に、3冊ずつ新書などを読んだ。春学期に、2冊の読書技術論を読み、読書の意義や体的な読書技術について議論した。春学期はその他に1冊の日本語学、秋学期は3冊の日本文化論を読んだ。読書のペースは、1週間に30~50 ページで、予習課題(内容理解問題と読書ノート)を設定した。授業では、予習課題についてピア活動による協同学習とクラス全体で確認し、理解を深めた。学習者は1冊読み終わるごとに、書評と読書マップを作成した。教員はそれを講義ページに掲載し、学習者が閲覧可能にした。 実践の結果についてアンケート調査の結果から述べる。事前アンケートでは、日本語で書かれた本を読むことが「難しい」、「やや難しい」と感じていた学習者は74%であったが、事後アンケートでは43%に減少した。電子書籍の利用は本によって異なるが、全体の50~80%が利用した。電子書籍の閲覧方法(複数回答可)は、タブレット52%、ノートPC 44%、スマートホン33%であった。前年度と比べ、スマートホンの利用が低下し、電子書籍による読書に対する否定的なコメントは減少した。そして、協同学習を楽しいと感じている学習者は93%、協同学習を通じて多面的思考ができたと判断している学習者は89%であった。また、最初に読んだ読書技術論に書かれていた読書技術をその後の読書に利用した学習者も81%と肯定的な回答が多かった。1年間の読書プログラムを通じて、読書リテラシーが習得できつつあると言えよう。今後、このプログラムを継続しつつ、学部4年間にわたるカリキュラムの中で読書教育プログラムを検討したい。
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