研究課題/領域番号 |
17K02877
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
守崎 誠一 関西大学, 外国語学部, 教授 (30347520)
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研究分担者 |
内藤 伊都子 東京福祉大学, 教育学部, 教授 (90569708)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 在日留学生 / 就職活動 / 異文化適応 / 混合研究法 |
研究実績の概要 |
学校法人の就職支援室に勤務する2名の職員を対象に、2017年に実施した約2時間の半構造化インタビューデータに対してテキストマイニングを実施して、その語りの背後にある特徴を“量的”なアプローチに基づいて明らかにした。加えて、その量的なアプローチによる分析結果を“質的”なアプローチによる分析結果と比較することで、分析方法による結果の類似・差異についても検討をおこなった。 その結果、否定的なキーワードの方が、肯定的なキーワードよりも数も種類も多く、外国人留学生の就職に関して就職支援室の職員が相対的に否定的な語りをしていることが明らかとなった。また、語りの中に現れたカテゴリとカテゴリ間の関係を「就職活動」に注目して見たところ、留学生の就職活動に関するインタビューであったことから「留学生」と共通する回答が11と最も多いのは当然のことであるが、「母国(6)」「文化(5)」「日本語(4)」「先生(4)」「勉強(3)」「仕事(3)」「日本人(3)」「大学(2)」「ビザ(2)」「アルバイト(2)」などとの関係で「就職活動」が語られていたことが明らかとなった。 守﨑・内藤(2017)がおこなった“質的”なアプローチからの分析結果と今回の結果を比較したところ、多くの点で共通した結果となっていた。しかし、「先生」「勉強」「大学」などのカテゴリについては、質的”なアプローチからの分析結果の中で言及されていないなど、2つの分析結果の違いも明らかとなった。 本研究成果については、多文化関係学会の第18回年次大会(2019年11月17日)において発表をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度は、(1)複数言語の質問紙の完成と3大都市圏(関東、中部、関西)に留学している学生に対する調査の実施、(2)留学生の就職支援をおこなっている学校職員へのインタビュー調査データに対してテキストマイニングを実施して、その語りの背後にある構造について“量的”に明らかにするとともに、 “質的”なアプローチによる分析結果との比較の実施、(3)留学生へのインタビュー調査データに対してテキストマイニングを実施して、その語りの背後にある構造について“量的”に明らかにするとともに、“質的”なアプローチによる分析結果との比較の実施、を目標とした。 (1)に関しては、完遂することができなかった。そのため、研究期間を1年間延長したうえで、来年度の早い段階で調査を終える必要があると考えている。 (2)に関しては、分析を完遂したうえで、その結果を2019年11月17日に多文化関係学会第18回年次大会で発表をおこなった。 (3)に関しては、国際学会での発表を予定していたが、今般のCOVID-19の影響により大会の開催が中止されたため、発表に至らなかった。来年度についても、同様の状況が続くことが予想されるため、成果の発表方法を口頭発表から論文の投稿にシフトしていくことを検討している。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度については、以下の4つのことを計画的に実施していくことを目標とする。 (1)これまでも実施してきた留学生の就職支援をおこなっている学校職員へのインタビュー調査を2020年度についても引き続き実施することで、質的なデータの充実をはかる。 (2)2019年11月17日に多文化関係学会第18回年次大会で発表したデータに(1)のデータを加えて再分析をおこない、その結果を論文にまとめて学会誌に投稿をおこなう。 (2)2019年度に国際学会で発表をおこなう予定をしていた、留学生へのインタビュー調査データに対する“量的”および“質的”なアプローチによる分析結果の比較研究については、論文にまとめて学会誌に投稿をおこなう。 (3)2019年度に実施できなかった複数言語の質問紙の完成と3大都市圏(関東、中部、関西)に留学している学生に対する調査の実施を2020年度の早い段階で終え、その結果をまとめる。 その上で、研究の最終年度として、今回の研究全体を総括して、全体をよりよく説明するモデルの構築をおこなうとともに、それらを成果として取りまとめをおこなう。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度の人件費・謝金に大きな残額が出た理由としては、質問紙の作成に関わる作業(翻訳・バックトランスレーション作業)が遅れたことと、その質問紙を使った3大都市圏(関東、中部、関西)に留学している学生を対象とする質問紙調査を実施することができなかったためである。また、旅費・宿泊費に大きな残額が出た理由としては、発表を計画していた国際学会が、今般のCOVID-19の影響により開催中止となったため、予算の執行が出来なかったためである。 そのため、2020年度の早い段階で翻訳作業を実施して、その際の人件費に充当するとともに、調査実施の際の研究協力者への謝金、数値データの入力作業や自由記述データの翻訳に必要な人件費に充当する。また、研究成果を学会・研究会等で発表する際の旅費・宿泊費に充当する。
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