研究課題/領域番号 |
17K02879
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研究機関 | 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所 |
研究代表者 |
田中 啓行 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 日本語教育研究領域, プロジェクト非常勤研究員 (40779774)
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研究分担者 |
藤村 知子 東京外国語大学, 大学院国際日本学研究院, 教授 (20229040) [辞退]
俵山 雄司 名古屋大学, 国際機構, 准教授 (30466685)
毛利 貴美 岡山大学, グローバル・パートナーズ, 准教授 (60623981)
石黒 圭 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 日本語教育研究領域, 教授 (40313449)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 講義理解 / 談話構造 / ノートテイキング / 日本語教育 / アカデミック・スキル / アカデミックジャパニーズ / 聴解 |
研究実績の概要 |
平成30年度は、前年度に着手した本調査を進め、データの処理と分析を行った。また、前年度に収集したドイツの日本語学習者(以下、学習者)のデータも含めて、分析の結果をまとめた。 本調査は、日本語母語話者(以下、母語話者)18名、中国語母語話者18名、ベトナム語母語話者20名に対して実施した。A高齢者福祉(約5分)、B高齢者福祉(約10分)、C教育学(約30分)、D日本語学(約35分)の4本の講義を、デジタルペンでノートを取りながら視聴した後に講義の内容とキーワードの意味を母語で書いてもらった。AとBは同じ講義者による類似の内容で提示する視覚情報が違うもの、CとDはweb上に公開されている講義から選定したものである。まず、A、Bの視聴と講義内容の筆記が終わった後、ノートの筆記過程を見ながらインタビューを行った。その後、CとDについても、同様の手順で調査を行った。この調査で収集したノートとその筆記過程、視聴後に書いた講義の内容とキーワードの意味、インタビューの談話を分析資料とした。 分析の結果、まず、ドイツの日本語学習者のデータから、日本語のレベルが高い、あるいは、日本への留学期間が長い学習者は、話の展開を予測しながら講義を聞き、予測に基づいてノートを取っていることがわかった。 次に、本調査のベトナム語が母語の学習者と母語話者のデータから、講義の専門用語を説明するために講義者が挙げる具体例について、①学習者も母語話者も講義のテーマや専門用語の具体的なイメージをつかむために具体例を活かしている、②講義の冒頭では、できるだけ多くの情報をノートに書こうする、あるいは、講義のテーマの具体的イメージをつかむために具体例をノートに書いている、③具体例と専門用語との関係が明示的でなかったり、抽象的な説明より前に具体例が示されたりすると学習者にとってわかりづらくなるということが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度は、前年度に着手した本調査を継続して実施し、収集したデータを用いて、学会発表を行うことができた。また、追加の計画として実施したドイツでの調査のデータについても、学会発表を行うことができたため、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
令和元年度(平成31年度)は、平成30年度に学会発表を行った研究成果を論文としてまとめる。すでに、発表の際に受けたコメントを踏まえて分析や考察の見直し、修正を進めている。 また、論文の執筆と並行して、前年度とは別の観点での分析を行い、年度後半に学会発表を行うことを目指す。そのためのデータの処理・分析作業は現在進めているところである。
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次年度使用額が生じた理由 |
インタビューを録音したデータの文字起こしを外注する予定であったが、雇用した技術補佐員による作業によって外注する予定だったデータの一部を文字化することができたため、外注のための経費分が次年度使用額となった。この額については、新たな観点での分析のためのデータの処理に使用する予定である。
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