研究課題/領域番号 |
17K02885
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
保田 幸子 神戸大学, 大学教育推進機構, 准教授 (60386703)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 内容言語統合型学習(CLIL) / ライティング / 外国語教授法 / 小学校英語教育 / 第二言語習得 |
研究実績の概要 |
【研究概要】本研究は,近年新しい外国語教授法として注目されている「CLIL(Content and Language Integrated Learning, 内容言語統合型学習)」が,日本の小学校英語教育においても有効であるかを検討することを目的に実施された.本研究は特に外国語によるライティング能力に着目し,同じ学習者が3年生→4年生→5年生と学年が上がるにつれて,ライティング能力においてどのような変化が見られるかを3年間追跡調査するものである.
【平成29年度実施内容】 ・平成29年4月~6月:協力校である西日本の私立小学校の教頭先生,CLILコースの主任の先生とプロジェクトの内容と実施計画について打ち合わせを行う.・平成29年7月:小学3年生の学習者から,追跡調査のベースラインとなるライティングのデータを収集.ライティングタスクは,特定の状況を与えた上で,設定された読み手に向けて「手紙文」を書くというものである.・平成29年8月~12月:ライティングのデータを量的・質的な観点から分析.・平成30年1月~3月:データ分析の結果のまとめ,協力校に向けて分析結果の共有を行う.
【意義,重要性】本年度,小学3年生から収集したデータを分析した結果,CLILコースとEFLコースの学習者のライティング能力には相違点のみならず共通点もあることが分かった.相違点については,流暢性,語彙多様性,一文の複雑性では,CLILコースとEFLコースで有意な差が見られた.また,CLILコースの学習者は内容をより読み手に対して明確にするために「絵」を使う傾向があることが分かった.共通点については,前置詞句はほとんど使用しない傾向がある.文と文の結束性を作ることに関し,代名詞の使用を避け,同じ単語を繰り返す傾向がある.定冠詞 theの使用はほとんど見られず,小学3年生の段階において,まだ発達段階の領域であることが明らかになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り,平成29年度中に,小学3年生からライティングのデータを収集し,分析を行い,調査結果をまとめ,協力校の先生方に結果を共有するる段階まで進めることができた,このことにより,平成30年度に実施予定の小学4年生からのデータ収集もスムーズに行えることが期待できる.
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今後の研究の推進方策 |
小学4年生を対象にライティングタスクを実施し,データを収集する.昨年度,小学3年時に実施したタスクと同じタスクに取り組んでもらい,一年間でのライティング能力の伸び,言語的特徴の変化について,定量的・定性的双方の観点から詳細な分析を行う.また,一年目に実施したデータ分析結果を国際ジャーナルに投稿するとともに,積極的に国際学会にて発表を行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度に,学習者の算数の能力を測定するために専門家から助言をもらう予定であったが,協力校のスケジュールの状況から算数テストの実施が不可能となった.そのため計画を変更し,平成29年度は外国語ライティング能力の測定のみに絞ったため,未使用額が生じた.
平成30年度は,CLILにおける教科能力の発達と測定方法について広く情報収集を行うべく,未使用額はこの経費に充てることにしたい.
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