本研究は,中・高等学校の英語授業におけるアクティブラーニング(AL)の改善を目指し,(1) ALの理論研究及び効果に関する実証研究の概観,(2) 中・高等学校の英語授業における教師・生徒の英語使用及びALの実態調査,(3) 調査に基づく英語授業におけるALの提案,(4) 提案に基づく授業実施とその効果検証,を目的とする。実績は次のとおりである。 平成29年度に,(a) 海外ではALの有効性が検証されているが,国内では殆ど検証されていない,(b) ALにおいて協同学習(CL)の果たす役割が大きく,国内の代表的なALの実践では,CLの原理が概ね反映されていること,が示された。尚,英語使用の実態調査については,文科省の調査があり,不要となった。 平成30年度に,大学生及び高校教員対象の調査で, (a) 講義形式の授業では,CLに対する認識及びリスニングに対する動機づけが幾分向上する,(b) 小規模の演習型授業では,CLに対する認識及びスピーキングに対する動機づけが向上する,(c) 高等教員は,CLに概ね肯定的であり, CL実施状況とCLに対する肯定的な認識には関係がある,等が示された。 令和元年度は,中・高等学校のおける多忙な業務状況の中で,ALの実践・検証を実施できなかったが,大学生対象のCLに基づくALに関して成果をまとめた。また,「主体的・対話的で深い学び」としてのALにおける学びの深さに関する提案を行った。更に,直近の10年間 で,外国語として英語を指導している国々において,CLが英語スキル・能力の向上に及ぼしている影響に関するメタ分析を行った。 令和2・3年度は,コロナ禍のためALの実践・検証を諦め,これまでの成果を発表し,中・高等学校の英語授業におけるALの普及関する示唆をまとめた。
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