日本の大学で教える外国人英語教師の役割認識(授業で自らをどのような存在として認識しているか)を探る本研究は、日本人英語教師との質的・量的な比較を通じて、彼らの役割認識の特徴を検証することを主目的とした。3か年計画で実施された本研究は、2019年度に最終年度を迎え、3年間の研究成果を取りまとめた。具体的には、初年度に行った大学英語教師との面接調査の分析結果と2年目に実施した質問紙調査の結果を論文として発表し、研究成果の公表に努めた。 まず、研究初年度に行った質的な研究の分析結果を2編の論文として発表した。これらの論文では外国人教師と日本人教師の役割認識の共通点や違いを指摘すると同時に、それらの違いを生む要因を仮説して提示した。 また、研究2年目に実施した質問紙調査の結果を1編の論文として発表した。調査に使用した質問紙は初年度に行った質的な研究の成果を基にした仮説を検証するために作成し、外国人教師158人が回答した(比較対象となる日本人教師は170人が回答した)。 その結果として、次のことがわかった。外国人教師・日本人教師の間で、役割認識の共通点が多くあるものの、外国人英語教師は日本人英語教師に比べて、学習者に対する「ファシリテーター(支援者)」としての意識が強いこと、授業の「デザイナー(設計者)」の意識を強く持っていることがわかった。これらの認識の違いを生む要因として、文法指導に関する信念・信条の違いや(英語母語話者であることの)自己認識が影響していることを示唆する結果を得た。
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