研究課題/領域番号 |
17K02901
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
河野 円 明治大学, 総合数理学部, 専任教授 (20328925)
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研究分担者 |
鈴木 広子 東海大学, 教育開発研究センター, 教授 (50191789)
平井 清子 北里大学, 一般教育部, 教授 (60306652)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | EAP / ブルームタキソノミー改訂版 / 英語学習動機 / 足場掛け / 学習者ニーズ調査 / カリキュラム設計 / バイリンガリズム / 医療系学生 |
研究実績の概要 |
2017年に試行し、2018年から実施した学習者の高校までの学びに関する調査「英語学習に関するアンケート調査」は、2019年度版は選択肢の改良、学期前と学期末調査の2種類の調査を再編し、年度最初に実施した。今年度の調査結果は、入試種目別と検定試験結果のレベル別に分析を行ったところ、検定試験による英語力の高い学生は入試種目別に関わらず、多様なコミュニケーション活動を経験してきている傾向が示唆された。 EAP試行授業は研究関係者の担当する授業においてそれぞれ実践がなされた。医学部2年生では、昨年1年次に実践したEAP試行授業、および学生からの学年末学習調査結果を分析し、クリティカル・リーディング、ショート・リサーチ、プレゼンテーションをとおして、主体的で深い学びを伴う協働学習を経験させることに主眼を置いた。一方、国際関係や数理系の学部には、指定テキストを利用しながら学生の応用・分析・評価などの思考に働きかける活動をとり入れた。今年度は、このような実践後、学生の英語学習に対する認識の変化を明らかにするために学期末調査も行った。学習者のライティング活動記録とも照らし合わせてEAPプログラムの効果を検証する予定である。 一方、海外におけるEAP関連の調査を行った。1、台湾の高等学校の教科書調査・実体調査を行い、論理的思考力養成のために必要な発問や、教材として文学作品の使用方法などの調査を行った。2、イギリスのBALEAP学会への出席とロンドン大学SOASのEAPプログラム調査を行い、特にカリキュラムや教師教育について知見を得た。3、ハワイ大学においてアメリカの大学初年次のライティング教育の理念や最新の動向について研究を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究対象の英語(EAP)教育が、学習者の学び意味に関する認識および英語のコミュニケーションによる多様な活動の経験にどのような変化をもたらすかを検証するために、データ収集(教育実践を通した学習者のデータ)は予定通り行うことができた。医学部2年生対象の実践においては、1年間の授業終了時に、学習者の学びがどのように変化したか認識調査(量的・質的)をした。その結果、リサーチ学習によって自分の必要としている情報を探し出す方法及び新しい知識を英語で得る方法をある程度得たことが窺えた。また、提出課題から学生の書いた英文において、例えば使用語彙の適切さなどの英語能力、そして、内容の正確さの両面において進歩が見られた。数理系学部においてもアンケート調査を実施したデータを収集し調査結果の単純集計を行い、学習者のライティングデータを分析した。これらは途中経過をそれぞれ学会で発表し参加者と情報交換を行っている。 その他、バイリンガリズム理論の根幹であるCALPの概念に関連して、国際バカロレアのTOKのワークショップを開催し、言語と概念の関係を議論することができた。本研究の最終的な総括と研究成果は、2019年度後半開催の国際学会で発表予定であったが、全てがキャンセルされたので、次年度以降に成果発表を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の活動は、2018年度、および2019年度に得られたデータを再点検し必要に応じて再分析を行う。特に以下の課題を明らかにする。 1、2018年度、2019年度の入学後の大学生は、それまでにブルームの改訂版タキソノミーの認知及び知識領域においては、どのような言語活動を経験しているか、英語学習にどのような目標や展望を持つかを明らかにするためのアンケート調査を行った。2年間のデータを再点検して、記述統計を用いて総括する。 2、2018年度、2019年度のEAPプログラム実施後の調査を再点検し、それぞれの年度当初の調査データと比較する。記述統計で分析を行い結果について考察を行う。 3、実践記録と学習者英語データを整理、点検して、学生の専攻や英語カリキュラムに位置付けなどの要因も考慮に入れてプロトコル分析を行う。その上で(1)学習者の学びに対する認識の変化、(2)学期前の英語力の2点が、EAPプログラム後にどのように変化し、どのような関係性があるかを明らかにする。 4、本研究で試行した個々のEAPプログラムを総括して、日本の大学におけるEAPプログラムへの提言をまとめる。上記1から3までのデータと合わせて成果を公表するため、ウエビナー等も含めた発表手段を検討、実施し、雑誌論文に投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
発表予定であった国際学会がキャンセルになったため。
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