研究課題/領域番号 |
17K02903
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研究機関 | 東京工芸大学 |
研究代表者 |
重光 由加 東京工芸大学, 工学部, 教授 (80178780)
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研究分担者 |
大塚 容子 岐阜聖徳学園大学, 外国語学部, 教授 (10257545)
岩田 祐子 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (50147154) [辞退]
大谷 麻美 京都女子大学, 文学部, 教授 (60435930)
村田 泰美 名城大学, 外国語学部, 教授 (70206340) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | リンガ・フランカの英語 / 異文化接触会話 / 異文化理解 / 南アジア / 東南アジア / スピーキング能力養成 / 英語教育 / コミュニケーション能力 |
研究実績の概要 |
本研究は、ELFの観点からアジア英語変種(インド・ベトナム)を対象に調査し、ELFとしての会話ストラテジーを抽出し、グローバル社会でELF英語を話す際に必要な異文化間相互調整能力の養成を目的とするものである。インド人12名、インド在勤日本人8名、ベトナム人20名とベトナム在勤日本人12名の協力を得て、実験会話データ収集と現地の言語環境に関する聞き取り調査を実施した。インタビューを収集した。データのトランスクリプト作成や談話分析を経て、最終年度は成果発表として学会発表や論文執筆を中心に活動した。主な結果は以下のとおりである。 英語を公用語としているインドでの調査では、インド人日本人双方が相手の英語が聞き取りにくいことや、談話の組み立てが異なり話の重要な点がわかりにくい点が指摘された。さらに、対人関係にかかわる距離の取り方の異なり、ターン・テイキングの手法の異なりなども言及があった。双方に英語を外国語としているベトナムの調査からは、相手の英語能力に合わせた臨機応変な態度が双方に必要であることが明確であった。以上のことから、英語教育において、発話の内容がわからないときの聞き返し、相手の理解の確認、相手からの質問にはきちんと答えるストラテジーの指導、また、文化や母語が異なる人とのコミュニケーションの基本を押さえるなど、異文化相互調整能力の向上の重要性も示唆された。 本研究は、今まであまり調査されていなかった地域の人との談話スタイルを解明することで、それぞれの地域の文化・社会的背景では、どのような特徴を持つELFが必要であるかに注目した点が独創的である。またグローバルな視点からも、英米の規範の知識に基づく英語だけでは、意思疎通の阻害、不要な偏見、信用問題につながり、新たな視点での英語教育の課題が示されたことも意義がある。
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