研究課題/領域番号 |
17K02905
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
村田 泰美 名城大学, 外国語学部, 教授 (70206340)
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研究分担者 |
大塚 容子 岐阜聖徳学園大学, 外国語学部, 教授 (10257545)
岩田 祐子 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (50147154)
大谷 麻美 京都女子大学, 文学部, 准教授 (60435930)
重光 由加 東京工芸大学, 工学部, 教授 (80178780)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 英語会話のやりとり / 英語初対面会話 / 英語会話運営能力 / 日英語会話構造 / 日本語母語話者を対象とした英語教育 |
研究実績の概要 |
平成29年度は予定通り、英語会話能力の指導のための実験授業を留学経験のない7名の大学1年生を対象におこなった。それに先立ち、指導を受ける前の学生(2名)と留学生(2名インドネシアおよびマレーシア出身)との英語会話、フォローアップ・インタビューを国内にて実施することができ、指導を受けた学生とそうでない学生を比較できる参照データを得た。 さらに実験授業を受けた学生の中から、TOEIC(LR)600点以上という条件をクリアし、かつ長期海外渡航経験のない学生を面接により4名選抜して、台湾(国立彰化教育大学)と韓国(ソウル公益大学)に出かけた。現地では日本人学生1名と台湾または韓国人学生2名の3人英語会話を収録し、台湾と韓国で合計8本のデータを収集することに成功した。英語会話は30分で内容は初対面会話が不自然でない場面に即した社交会話である。具体的には、現地大学に客員教授としてきている自分の大学の日本人の先生を訪ね、先生宅で現地学生との交流パーティーに出席したという設定の会話である。日本語の通じない相手2人に対し、1人で向き合う日本語母語話者の学生が英語でどの程度会話の主導権をとり、人間関係を構築できるかを検証するデータとなる。台湾および韓国での英語会話参加者のフォローアップ・インタビューも実施し、お互いの印象がどのようなものであったかや、英語会話そのものに対する印象も聞いている。以上の英語会話データやフォローアップ・インタビューは文字起こしをおこない、トランスクリプトを通して分析を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度の目標は以下の3点である。1.日本国内で日本語母語話者に対し、英語会話運用について、積極的に英語会話に参加するために有用で具体的な方策を指導する、2.英語会話運用の方策を教授されていない大学生と外国人との英語会話初対面データを日本国内で収録する、3.英語を外国語とするアジア圏、すなわち日本と同じ言語環境で英語を学習している現地大学生と日本語母語話者との初対面英語会話データを現地(日本語母語話者には心理的負荷が高くなると予想)で収録する。計画通り、以上の3種類の目標を達成することができたので、順調に進展しているとするが、収録英語会話データの文字起こしに時間がかかり、30年度に持ち越したため、計画以上の進展とは考えることができない。
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今後の研究の推進方策 |
今後は文字起こしをして、完成した英語会話データをもとに、英語会話運用能力の効果を検証するが、発話量、ターンの回数、発話内容、お互いの印象形成、笑いの回数等を指標として分析を進め、有効性を明らかにしていく。また、これらの英語会話運用能力をもとにしてディスカッション・ストラテジーについて、日本語母語話者が積極的にディスカッションをリードするために必要となる方策を抽出する。指導授業を通じてそれらのストラテジーを大学生に教授し練習をさせる。ディスカッション・ストラテジーを知り、実践できると判断される学生を選抜できたら、アジア圏に赴き現地の学生とディスカッションをさせ、その効果を探るためのデータを収録する。
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次年度使用額が生じた理由 |
英語会話データ収録に関して台湾および韓国の大学や、参加学生のタイミングを調整することに時間がかかり、最終的に収録を終了したのが3月8日となった。そのため29年度内に文字起こしができず、30年度の経費を使用したい。英語会話データのほかにフォローアップのデータの文字起こしも必要である。合計約10時間分の英語会話トランスクリプションに加えて、音と文字をつきあわせた確認作業の経費とする。またトランスクリプションについて英語母語話者の解釈を確認するための費用も必要である。(文字起こし10時間@\15,000、確認作業10時間@\10,000)
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