研究課題/領域番号 |
17K02908
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
平野 亜也子 立命館大学, 情報理工学部, 任期制講師 (10755490)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 文理解 / 関係節 / プライミング効果 / 繰り返し接触 / 読み時間 / 文処理 / 行動実験 / 遅延効果 |
研究実績の概要 |
本研究プロジェクトの目的は、日本人英語学習者(JEFLLs)を対象に、英文理解における困難点を解明するとともに、統語的プライミング効果の発現を利用しながら意味と形式とに注意を向けさせるタスクが英文理解と産出を促進するかどうかを調査するものである。本年は、関係節および受動態を用いて意味と統語とのマッピング処理における困難点を検証した。さらに、プライミング効果を利用した繰り返し接触タスクの文理解促進効果を検証するために、関係節文をターゲット構造に設定し行動実験を実施した。これらの研究成果は、共著を含む6本の研究論文として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2017年度は、統語的プライミング効果を利用した「繰り返し接触が日本人英語学習者の関係節文理解に及ぼす影響-処理促進効果及びその持続性の検証-」を研究課題として設定し、主格/目的格関係節文を用いて初中級熟達度の日本人英語学習者を2群(関係節群/統制群)に分けて、繰り返し接触学習の効果を自己ペース読み課題で測定した。3つのテスト(プレテスト/ポストテスト/一日後の遅延ポスト)における関係節文の理解確認問題に対する正答率と、関係節文の主節動詞句の反応時間とで分析した結果、関係節文への繰り返し接触学習効果が確認された。また、目的格関係節の場合、一日後にさらに効果が促進されることが判明した。 日本人英語学習者を対象に、一日後の遅延効果を検証した実験はこれまでに行われておらず、これまでの接触頻度が高いと考えられる主格関係節よりも、頻度が低いと考えられる目的格関係節への文処理促進効果が高い、という結果から、プライミング効果が潜在学習の一種である可能性が示唆され、興味深い研究結果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2017年度では、日本人英語学習者を対象に、文字提示された文への繰り返し接触が文理解に及ぼす効果を検証した。2018年度は、2017年度の研究を踏まえて、音声提示された文への繰り返し接触効果を、心理言語学実験により検証する。また、リーディングへの促進効果に加えて、リスニングへの促進効果も検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度に購入予定であった書籍を次年度に購入することとする。
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