研究課題/領域番号 |
17K02913
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
藤原 三枝子 甲南大学, 国際言語文化センター, 教授 (50309415)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 外国語学習観 / 質問紙調査 / 聴き取り調査 / 教師のビリーフ |
研究実績の概要 |
平成29年度は、平成26年度~平成29年度の科研の課題である「ドイツ語学習の動機づけ」に関してこれまでに実施した質問紙調査と聴き取り調査を、本研究テーマである「外国語学習観」の視点から分析を行い、「ドイツ語学習の動機づけ」の分析結果とともに、日本独文学会研究叢書および所属大学・センターの紀要に論文として発表した。また、スイス・フライブルクで開催された、ドイツ語教師の国際学会「14.Internationale Tagung der Deutschlehrerinnen und Deutschlehrer」でも、この視点も含めて口頭発表した。連携研究者の教師研究に関しても「教師のビリーフ(信念)」について、上述の独文学会研究叢書に分析結果を公表した。 聴き取り調査および質問紙における自由記述の分析を行う際のスキルの向上を目指して、英語教育・ドイツ語教育の教師を対象として、言語データの分析方法であるSCAT(Steps for Coding and Theorization)の専門家を招き、連携研究者と共にワークショップを開催した。講師の勤務先のある名古屋で実施したが、東京・大阪・神戸と遠方からも多くの参加者があった。今後の分析に役立つスキルの習得につながった。 平成30年度に予定している学習者を対象とした質問紙及び聴き取り調査実施に向けて、勤務大学の倫理委員会に調査の許可を申請し、承認を得ることができた。加えて、連携研究者の教師調査実施のために、連携研究者の所属大学の倫理委員会に調査の実施許可を申請し、承認を得ることができた。 平成30年度に実施予定である本調査に向けて、平成29年度は小規模なパイロット調査を実施し、先行研究およびパイロット調査の結果に基づき、質問紙の改善を実施した。また、今後の研究計画について、連携研究者と複数回会議を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は、平成30年度の本調査のための準備の年と位置づけ、これまでの調査データを、本研究テーマの視点から分析し、国際学会で口頭発表するとともに論文として公表することができた。また、平成30年度の本調査に向けて質問紙の作成および必要な書類を作成し、所属大学の倫理委員会にそれらの書類を提出することで、質問紙調査実施の許可を得ることができた。 加えて、聴き取り調査や質問紙の自由記述の分析に際してのスキル向上をめざして、二日間にわたり、言語データの分析方法であるSCAT(Steps for Coding and Theorization)のワークショップを開催することができた。 上記のように、平成29年度は、これまでの「ドイツ語学習の動機づけ研究」を踏まえて本研究テーマである「外国語学習観」の研究を進めることができたこと、平成30年度実施の本調査のための準備態勢を形成できたこと、加えて、連携研究者も「教師研究」のために調査対象者への打診など平成30年度の本調査の準備を進めている。こうしたことにより、研究はおおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、平成29年度に行った準備に基づき、学習者に関しては質問紙および聴き取り調査を実施する。質問紙調査は12大学で実施される見込みで、前期は5月~6月、後期は12月~1月に予定している。質問紙の送付・返送、データ入力は調査専門会社を通じて行われる。前期に実施される質問紙調査のデータは後期に分析を開始し、後期に実施される質問紙および聴き取り調査のデータ分析は平成30年度末および平成31年度前期に行い、平成31年度に学会発表および論文として公表予定である。 連携研究者の研究テーマである教師対象の調査(授業観察、聴き取り調査等)についても、調査を依頼する教師がほぼ確定している。平成30年度に調査を実施し、分析結果は学会および論文の形で発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
分析のためのソフト(SPSS, AMOS)の購入を次年度に延期したこと、平成30年度に予定している質問紙調査の調査会社委託費が当初の予想をかなり上回る可能性が高いことから、次年度に予算を回す必要があった。生じた使用額は平成30年度に支出を予定している。
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