研究課題/領域番号 |
17K02913
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
藤原 三枝子 甲南大学, 国際言語文化センター, 教授 (50309415)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 質問紙調査 / 学習者の学習観 / 教師の教育観 / ドイツ語を使う自己像 / 授業参観 / 聴き取り調査 |
研究実績の概要 |
2019年度は、2018年度に実施した質問紙調査の分析を進め、論文および国際学会で口頭発表した。2019年3月に、研究代表者が所属機関の紀要に発表した学習者対象の前期質問紙調査(英語学習経験とドイツ語学習に関する質問を主な内容として2018年年5月~6月に実施し、1062名の学習者が参加)の分析結果をさらに進め、コミュニカティブ・アプローチにとって重要な観点である「ドイツ語を使う自己像」についての分析を含めて、2019年8月26日から8月29日に開催された「アジア・ゲルマニスト会議」において”Englischlernerfahrungen und Einstellungen der Studierenden zum Deutschlernen sowie deren moegliches Selbstbild als Deutschverwendende“として口頭発表した。また、教師対象の前期質問紙調査(14大学33名)を学習者の分析と比較する形で分析し、2020年3月に、「コミュニケーション中心の初級ドイツ語授業における教師のドイツ語教育観-前期調査における学習者の学習観との比較に基づいて-」として研究代表者が所属機関の紀要に発表した。連携協力者も教師を対象とする研究を進め、4大学4名に「授業記録」(年間4回ないし5回)を依頼し、授業参観(1回)・聴き取り調査(1回ないし2回)を実施した。また、所属機関の紀要に論文を発表するとともに、JALT(全国語学教育学会)国際大会で口頭発表した。 さらに、研究状況の共通理解と今後の研究計画の打ち合わせのために、研究代表者と連携協力者とで複数回科研会議を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度は、2018年度に実施した本調査の分析の年であった。当初の計画では、学習者対象の前期調査(英語学習経験とドイツ語学習に関する質問を主な内容として2018年年5月~6月に実施し、14大学1062名の学習者が参加)とともに、2018年12月~2019年1月に実施した後期質問紙調査も分析する予定であった。しかし、学習者の前期調査に関する分析を「ドイツ語を使う自己像」に関して進めること、および自由記述に関する分析、ならびに、調査に参加した教師(14大学33名)の分析をすることにとどまった。本調査で得たデータが非常に多いため、さまざまな角度からの分析が可能であるために、後期質問紙調査(14大学986名の学習者)の分析に着手することができなかった。また、連携研究者の教師に関する研究は、コロナウイルス感染拡大の影響で、2020年3月に予定していた2度目の聴き取り調査が3名の教師について実施できなかった。こうした理由により、研究はやや遅れていると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者が2018年12月~2019年1月に実施した後期質問紙調査(ドルニェイの「L2動機づけ自己システム」に関する質問項目を主な内容とし、14大学986名の学生と32名の教員の協力)および5大学39名の学習者が協力した1年間の「学習記録」の分析、加えて2大学18名の学習者が協力した「聴き取り調査」の分析を行い、2020年9月に学会誌に投稿の予定である。連携協力者の教師に関する研究についても、コロナウイルス感染拡大の影響で、2020年3月に実施できなかった3名の教師に2度目の聴き取り調査を行った後、文字起こしと分析を行い、2018年度の聴き取り調査のデータと合わせて、その結果を口頭発表するとともに論文としても発表予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本来は2019年度に分析を予定していた2018年12月~2019年1月に実施した後期質問紙調査(ドルニェイの「L2動機づけ自己システム」に関する調査で、986名が参加)および1年間の「学習記録」(39名の学習者が協力)加えて「聴き取り調査」(18名の学習者が協力)の分析を行い学会発表することができなかったため、分析ソフト等の購入と学会発表のための費用がかからなかったことにより差額が生じた。次年度は、2019年度に実施できなかった分析と研究発表のために助成金を執行予定である。
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