本研究の目的は、授業で使用する教材に適したオーセンティック・マテリアル(Authentic Materials: 生の教材)の選定とその効果的な使用方法について、教える側と学ぶ側の見解や評価を通して考察し、その効果を最大限に引き出す教授方法を構築することである。学習者を対象にしたアンケート調査と個人面接・グループ面接を実施し、その結果、オーセンティック・マテリアルを使用した授業は、適切な教材の選定と教授方法の使用により、学習者に実際に世の中で使用されている英語を理解することの喜びを見出させ、英語学習へのモチベーションを高めることが考察された。本調査のもう一つの対象者である教える側として、大学、短大、工業高等専門学校、高校、中学の教員に対して、アンケートと個人面接を実施した。日本、シンガポール、アメリカの3か国の教育段階の異なる対象教員から、授業でのオーセンティック・マテリアルの使用状況、使用教材の種類、授業方法などを広範にわたって情報を得ることができた。また、オーセンティック・マテリアルを教材として使用する際に短所として多くの専門家から指摘されている教材の選定と準備に時間と手間がかかる点も、個人面接から教員が独自で行っている創意工夫を聞き取ることができた。3年間計画の最終年度にあたる2019年度は、これらの調査の分析と取りまとめを行い、論文として発表した。また、国内と海外の学会で発表を行い、国内外の研究者と研究成果を共有した。
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