研究課題/領域番号 |
17K02916
|
研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
中野 秀子 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 博士研究員 (20309735)
|
研究分担者 |
夏目 季代久 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 教授 (30231492)
植田 正暢 北九州市立大学, 基盤教育センター, 准教授 (50321295)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 英語学習 / 脳の賦活 / fNIRS / アクテブ・ラーニング / 効果的学習法 / 個人学習 / ペア学習 |
研究実績の概要 |
平成30年度は以下のように研究を進めた。 1)平成30年2月に実施した英語アクティブ・ラーニング中の脳活動を調べる実験課題の作成:昨年度行った英語学習中の脳波測定実験で使用したPPTの再検討を行いさらに英語学習の基本出来タスクを加えた新バージョンの課題を作成した。英文表記有、ブランク有、英文表記無、の3つの異なる表示形態で英単語と英文の音声を聴く、話す、シャドーイング、推測して相手に話すという課題の活動中の脳内血流の賦活について調べた。同様な課題を作成し1人での学習と2人でのペア学習の違いを調べた。2)当初予定していた島津製作所のLABNIRSのレンタル料の値上げにより脳血流の測定機器の再選定に時間がかかったが、最終的に島津アドコム社の研究用ポータブル光脳機能イメージング装置LIGHTNIRSで代用できることを確認しレンタルの手続きを行った。実験参加者、実験助手、解析助手の募集を行い、学生が参加しやすい平成30年2月に5日間で18人の参加者について実験を行った。3)外向・内向性などの学習恣意的な要素による考察の必要性を鑑み、実験後参加者にアンケートを行った。4)データー解析:平成29年度のEEGのデータ解析は時間を要しており最終的な統計処理などを行うまでには至っていない。しかしながら、平成30年度のfNIRSの実験データは島津アドコムの解析ソフトを使って解析し、概ねすべてのデータ解析は終了した。現在、得られた数値の統計処理を各チャンネルごとに行い、それぞれの課題に対して英語力の上位群と下位群について有意差を計算し、英語学習中の脳内血流の賦活部位の特徴を調べている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は当初の予定通り1年目の脳波実験結果を踏まえて、2年目の脳血流測定の特徴を鑑みた実験資料の作成を入念に行った。今回の研究の中心となるfNIRSを使った測定で当初使用する予定をしていた機種、LABNIRS(島津製作所)のレンタル料金の4月からの予定外の値上げで、他の安価な機種に変更せざるを得なくなったが、簡易型のLIGHTNIRS研究用ポータブル光脳機能イメージング装置(島津アドコム)で代用できることが判明し実験を行うことができた。限られたレンタル期間中(5日間)に効率よく大学生に被験者として参加してもらう必要があるため、後期の講義期間終了後の2月に実験を行ったため平成30年度末までに最終的な結果をまとめる時間がなかったが、現在解析と結果をまとめて最終年度に発表する準備をしている。この時間的スケジュールは当初からの計画なのでおおむね順調に進展していると思われる。
|
今後の研究の推進方策 |
現在2年目に行った実験についてfNIRSのデータ解析をまとめ、統計処理をし、各課題について上位群と下位群の違いについて英語学習中の脳内血流の賦活部位の特徴を調べている。その後、1年目の脳波の実験から得られた知見と、2年目のfNIRSで得られた知見とを照らし合わせで大学生の英語学習中の学習課題、学習法、学習環境、学習者の英語力の違い、外向・内向性などの学習恣意的な要素による違いなどについて脳活動の特長をまとめていく。最終年度ではこれ等をまとめて国内外の学会と論文で発表する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度の実験で使用する予定のLIGHTNIRSのレンタル料金が急に平成30年4月から値上げしたことに起因して予算上他の安価な機種に変更する必要が生じ、検討した結果、機能的に問題がないと判断した島津アドコムのLIGHTNIRSをレンタルするに至った。しかしながら、この機器のレンタル料金には技術者の派遣料が含まれており、測定は熟練した技術者が行うのが原則となっている。以上の理由により、実験補助用員としての助手の数を半減させたため、当初予算に計上していた謝金の金額が減じ、次年度使用額が生じた。来年度は2年間の実験結果をまとめて得られた知見を発表するために旅費や学会参加費などが必要となるが十分な予算があるとは言えないのでその不足分に当てる予定である。
|