研究課題/領域番号 |
17K02922
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
Cecilia・N Silva 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 准教授 (40361208)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 異文化間 / 多文化 / モデル |
研究実績の概要 |
2017年に実施した研究ではスペイン語クラスにおける異文化コンピテンスに関する理論的枠組みに焦点を当て、特に異文化コミュニケーションコンピテンスと、文化的多様性や多文化コンテキストといったその他関連概念に着目した。そこで、主に3つのモデル(Kolb 1984, Byram 1991, Moran, 2001)および語学力と文化交流の関係を基礎とした枠組みの構築を試みた。具体的には、このモデルを授業活動に応用し、シラバス内の特定ユニットの各種トピック実践、および2週間の留学プログラムの開発を試みた。また、異文化指向的活動に関しては、学生が自らの文化的コンテキストの諸相を振り返り説明するとともにスペイン語圏に関わる様々な文化的問題について問いかけができるよう、多面的なアプローチを採用した。私は、このモデルの詳細およびクラスでの応用結果の一部を2つの学会で発表した。 ASELE第28回スペイン語教育法学会国際大会(Universitat Rovira e Virgili、2017年9月6~9日)で発表した『Applying an Intercultural Competence Model in the class』では異文化コミュニケーションの概念に焦点を当て、外国語としてスペイン語を学ぶ生徒に関する東北大学のプロジェクト(CEFRレベルA1およびA2)について述べた。 『Developing a Short-term Model for Intercultural Practice and Assessment』では1学期での異文化実践のために短期モデルを開発・適用しクラスを異文化体験に変えることの実現可能性に焦点を当て、第6回異文化コンピテンスの育成・評価に関する国際カンファレンス(アリゾナ大学、2018年1月25~28日)に発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実際のところ、本研究は以下の理由により比較的スムーズに進んでいる。 1.異文化・多文化コミュニケーションコンピテンスについては多くの文献が存在するため、文化的問題と言語のつながりについて理論的枠組みを構築し適切なモデルを得ることが可能であった。ただし、その他の要素を付加し、これまでに構築した枠組みに多様性を与えるうえでその他のモデルの調査が必要である。また、構造的活動とコミュニケーション活動の組み合わせに関する方法論に関する研究、および、クラスに定常的に我々の異文化モデルを導入し教材を開発するための方法に関する研究は完了しておらず、2018年にはこれらについてさらに重点的に取り組む。 2.異文化問題に関する理論とクラスでの実践に関しては、第6回異文化コンピテンスの育成・評価に関する国際カンファレンス(アリゾナ大学、2018年1月25~28日)において私の研究に関するいくつかのコメント、助言、および当該トピックに関する文献情報を得た。 3.我々の異文化モデルを定常的にクラスに導入するために、東北大学のスペイン語クラスを受講する学生のうち頻繁な評価と授業活動・教材の修正が可能な者の参加を得る。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の次のステップとしては、クラスの観察と教師へのインタビューを通じ、スペイン語・中国語・英語の入門クラスにおける異文化トピックの導入についていくつかの視点を得たいと考えている。クラスで取り扱うために適した異文化問題の範囲、それが言語習得に果たす役割、その教授法(言語とリソース)について判断したい。このためにすでに異文化モデルの主な特徴・要素を整理しており、今後、スペイン語・英語・中国語の教師向けのアンケート調査票を作成する。2018年には、次の2つのタスクを同時並行で行う。 東北大学における第二言語としてのスペイン語クラスの授業内容に、私が構築した理論モデルを応用する。このステップの結果の一部は、ASELE第29回スペイン語教育法学会国際大会(サンティアゴデコンポステラ大学、2018年9月5~8日)で発表する。 スペイン語・英語・中国語のクラスを観察し、クラスで文化・異文化に関する問題を扱うことについて教師にインタビューする。このステップの結果の一部は、第44回全国語学教育学会国際大会(静岡、2018年11月23~27日)で発表する。 上記の結果はまとめて高度教養教育・学生支援機構紀要第5号に投稿する。 このため、2018年の予算は主に東北大学およびその他大学でのクラス観察、教師へのインタビューに使用する(謝礼、交通費、アシスタント)。また、カンファレンスへの参加、必要な資料等(ビデオカメラ、メモリーカード、参考文献)の入手、論文の校正にも資金が必要となります。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であるため、次年度請求額と合わせて次年度の研究遂行に使用する。
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