研究課題/領域番号 |
17K02924
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松原 緑 名古屋大学, 教養教育院, 准教授 (00547036)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | プロソディ / 内的リハーサル / ピッチ / イントネーション / 自律型学習 / アプリケーション |
研究実績の概要 |
課題研究2年目は、まず前半に、昨年度末に作成した本アプリケーションのプロトタイプを利用してデータを収集したパイロット・スタディについて口頭発表を行った。具体的には、反復タスクを行う際に、学習者の注意をはじめから言語の全要素に向けるのではなく、「プロソディから言葉へ」と段階的に導くことで学習者のプロソディ再現率に何らかの違いがあるかを調べた。モデル音声から言語情報を曖昧にした音声をハミングで模倣する段階を加えた場合と、加えなかった場合について、ピッチ・レンジの変化、およびセンテンス・イントネーションの変化について比較した。その結果、ピッチ・レンジはハミングで模倣をする段階を加えた方が、明らかにピッチ・レンジが大きくなる傾向が観察できた。一方、センテンス・イントネーションの変化については、ハミングで模倣する段階の有無にかかわらず、文頭・文末のイントネーションは修正される傾向が強いのに対し、文中については個人差が現れる結果となった。またデータ収集直後に実施したインタビューとアンケートの結果から、ハミングでプロソディ抽出音声をリピートすること自体を難しいと感じる参加者もいたため、改良が必要となった。 後半は、アプリケーションの改善を行うことに時間を割いた。①モデル音声のイントネーション・ガイドライン表示方法 ②入力音声のイントネーション表示方法 ③モデル音声のプロソディ情報の抽出方法 ④モデル音声と入力音声との一致率の算出方法 について再検討をした。特に、学習者が模倣しやすいようにモデル音声のプロソディ特性のみを抽出しハミングのような音声にする③についての改良に時間を要した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
話し言葉のプロソディ情報のみを抽出し音声化する手法が困難で、理想的なハミング用音声を自動生成するプログラムの実装には至らず、アプリケーションの修正版の完成に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
まずはデータ収集用のモデル音声について、プロソディ情報のみを抽出した音声を個別に作成し、その音声をアプリケーションに読み込んだ上で、再度被験者データを収集する。データの収集についてはパイロット・スタディの段階で明らかとなった被験者の音楽性バックグラウンドの影響を考慮した上で被験者を募る予定である。プロソディ音声を自動生成する部分のプログラムについては、後付けで実装することも視野に入れて進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
話し言葉のプロソディ情報のみを抽出しハミング用音声を自動生成するプログラムの改良に時間を要し、アプリケーションの修正版の完成に遅れが生じた。繰越金は主にプロソディ音声を自動生成するプログラム、およびイントネーション・ラインの表示について改良を加えた修正版スマホ対応型アプリケーションの完成に使用する。また再度被験者データを収集するため被験者謝金、モデル音声の提供者への謝金の他、順次結果を学会で発表するために使用する予定である。
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