平成31年度の当該科研費研究計画に従って、「薬学生のための英語会話』教材開発に着手し、「パイロット版 薬学生のための英語会話」(東京化学同人)を開発することができた。教材の構成を考えるにあたり、平成29年度の全国私立薬科大学57校のオンラインアンケート結果、並びに平成30年度の米国南カリフォルニア大学薬学部、チャップマン大学薬学部、カリフォルニア州内の病院、薬局等での聞き取り調査、英国ポーツマス大学薬学部、小野薬品工業ロンドン支社、王立薬剤師会(RPS)、病院、薬局等での聞き取り調査を参考にした。また、教材開発の基盤、骨組みとして日本薬学会が例示する薬学準備教育ガイドライン(3)薬学の基礎としての英語③【聞く・話す】技能に準拠した教材を作成することとした。 扱った薬学分野は、保険薬局、ドラッグストア、病院の3つの臨床現場とした。それらの現場で必要とされる基本的な会話表現を取り扱い、それらを補助するものとして、専門語彙、発音練習、聴解力を訓練するディクテーション、速読・精読を訓練するリーディングコンプリヘンション、場面に応じた会話を作成するダイアログ、発展的な情報を紹介するコラムを取り上げた。 作成協力者として、アメリカ・カナダの薬学教育に造詣の深い2名の薬学専門教員、15名の臨床薬剤師教育の専門教員に日本薬学英語研究会(JAPE)の会員による協働作業無しには、目的を達成することは困難であった。 パイロット版は、1年間日本大学薬学部の「英語会話Ⅲ」・「英語会話Ⅳ」の授業で使用しながら修正箇所を確認し、翌年にはより良い教材を出版し、臨床薬剤師を志す全国の薬科系大学学生の英語会話のスキルアップに寄与する計画である。
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