本研究ではICTを活用した韓国語会話授業でのアクティブラーニング型教授学習の確立を目的とし,次の学習システムを開発した。(1)最も汎用的なGoogleプラットフォームで韓国語の教材開発を行い,音声による学習支援システムのプロトタイプの開発・動作を確かめて,教員の音声教材作成の負担も軽減した。これにより,音声CDの不便性がなくなり,学修者の授業以外での自律学修が期待できる。(2)多人数授業でも学修者全員に教員の指導が十分に行き渡る教育用コンテンツと学習者間の協働学習を促す学習として,ゲーム開発ソフトUnitiyを用いたグループ協働学習ネットワーク構築を試みた。(3)韓国語の会話練習システムはGoogleの音声認識エンジンを用いた発音の可視化システムを開発したが,その認識精度は十分と言えず,改善が必要であった。改善策として,AI技術の一つであるRNN(Recurrent Neural Network)のディープラーニングを用いた自然言語処理を試み,従来と比べて発音認識精度の向上を確かめた。(4)本質的な学習支援のため,単極脳波計(NeuroSky社のMindwave mobile2)を用いた学習時のストレス度合を調べて,教育現場での活用可能性も見出した。 一方,2020年からの新型コロナウイルス感染拡大に伴い,大学の対面授業が全面オンライン化されて,2021年度春にもその状況が続いている。そのため,これまで開発したシステムの予備実験は簡易的に少人数に対して検証済であるが,予定した予備実験と正規の韓国語授業(日本大学商学部の科目)での実践活用はできず,開発したシステムの統計的分析による実践的な教育ツールの有効性の解明までは至らなかった。 今後は,これまで開発した韓国語会話授業でのアクティブラーニング型教授学習を正規の韓国語授業で実証実験を行うことで,本システムの有効性を確かめたい。
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