研究実績の概要 |
平成29年度は時制・相に関わる副詞に焦点を絞って日米語の実態調査と文献調査を実施した。特に日本人英語学習者にとって'already, yet, still'の区別が難しいことから、日本語の「まだ、もう」を含んだコーパスと'already, yet, still'を含んだコーパスとの比較を行った。ダブル・トランスレーションの手法を用いて日本語の「まだ、もう」を含んだコーパス例文を英文に直した上でネイテイブ・チェックを依頼し、日本語の副詞部分が、どの英語副詞と対応するのか、また、'already, yet, still'以外の表現が用いられるのかを調査した。 文献調査では、個々の副詞の先行研究を調査したが、文における出現順に関するものは多いものの、時制・相と絡めた研究が少ないことが判明した。平成30年度も引き続き文献調査を続けたい。 研究成果の発表としては、大学英語教育学会(JACET)の英語語彙研究会で行っていた英語進行形に関する共同研究の成果を8月のJACET国際大会で発表した。現在、論文にまとめる作業中である。また、副詞研究に関しては、日本人英語学習者のエッセイにおける副詞を分析し、副詞の有無による解釈の差を英語ネイテイヴに依頼して調査した。さらに、学生が能動文と受動文を選択する際に、どの程度、副詞が手がかりとなるかを見るために1段落程度の文章を作成して空欄を選択させる形式の調査を実施した。この成果を1月にハワイで行われたHawaii International Conference on Educationで発表した。さらに、看護学科に所属していることから、看護系英語論文における現在完了形と副詞の役割について分析し、東京純心大学紀要にまとめた。
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