研究実績の概要 |
平成30年度は、英語時間副詞を日本人英語学習者がどのように理解しているかに焦点を当てて研究を行った。これまで高橋が行った科学研究費助成研究において、日本人英語学習者の多くが日本語「~ている」の影響を受けて、進行形が不適切である目標文の産出も進行形にしてしまう過剰使用が散見された。この問題点を克服するために、時間副詞の日英語比較を行い、類似点や相違点を検証することにした。日本語では「まだ」「もう」と訳されることの多い'still, already, yet'に焦点を絞り、学習者が英語の文脈から適切な副詞と時制の組み合わせが選べるかどうかを調査して日英語の共起性を調査した。 まず、日本語コーパスを用いて「まだ」と「もう」が使用されている文を選択し、翻訳ソフトで英訳したものをアメリカ人ネイティブに依頼して英文の自然さを確認してもらい、必要ならば修正してもらった。その結果、多くが'still, already, yet'を用いない英文の方が自然であると指摘されたが、英語時間副詞を用いても自然な英文を精査し、さらに、その文が状況を適切に表現するような状況説明の英文パッセージを12問作成した。各問題には4択の選択肢を用意し、上記の副詞と時制・相を組み合わせた。WEBベースの調査票形式に整え、高橋の本務校と研究分担者の学生に任意で調査を依頼した。平成30年11月から平成31年1月までを調査の実施期間としたが、学年末の忙しい時期と重なったためか協力者が集まらなかった。そこで、数的分析ではなく質的な分析を行い、3月にスペインのバレンシアで開かれた第13回INTED国際学会にて発表を行った。 今年度は研究協力者をさらに集めると共に、'still, already, yet'のイメージ図を完成させて教材作成に向けてまとめていきたい。
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