研究実績の概要 |
令和3年度は、令和2年度までの実践的研究、オンラインでの学会発表の成果を動画教材としてまとめる作業に入った。 「研究の目的」:類型化された動詞と副詞の階層構造における統語上の共起性に関し、日本語と英語の類似点や相違点を検証し、教材と教授法の開発を目指す。日本語では「~ている」が単純相、進行層、結果相を示す可能性があるのに対し、英語では動詞の類型により、いわゆる「進行形にならない動詞」が存在する。動詞を「完了の動作」と「未完了の動作」に分けて考えることで、明快な説明が可能となる。認知言語学は、従来は例外として扱われていたような事例にも取り組み、学習者の「なぜ」に答えてきており有用であるため、認知言語学の研究手法を用いて研究を実施する。 「研究実施計画」:上記の「完了動詞」と「未完了動詞」の理解を促進させるのには、英語時間副詞が有効であるとの仮説をたてて研究を進めた。平成29年度には日本語「まだ、もう」を含む文例と英語「still, already, not yet」を含む文をそれぞれコーパスデータによって分析した。平成30年度は、コーパスで抽出した文例を基に「日本人英語学習者の英語副詞理解度調査」を実施した。「まだ」は肯定文でstill, 否定文ではyetを用い、「もう」は平叙文ではalready, 疑問文ではyetを用いることで混乱を生じやすい。平成31年・令和元年度には、英語時制・相と時間副詞との関係について実践授業とWEBによるテストを行った。still, already, not yetをイメージ動画で視覚的に提示することで学習者の理解が深まることを実証し、海外で研究発表を行った。令和2年度は教材開発の最終段階の予定であったが、コロナ禍で打合せなどが憚れる中、オンラインによる研究発表を行い、教材の概要までは完成した。
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