最終年度では、英語の態である進行形と深く関わりのあるbe動詞について、『ハムレットの独白』を材料に分析したものを東京純心大学キリスト教文化研究センター主催のシンポジウム(いのちpart 1)のシンポジストとして発表した。その後、東京純心大学の出版物である「カトリコス」に掲載することが出来た。さらに、認知言語学の理論を応用した初学者向けの英語教材を金星堂出版より2025年度に出版することが決定した。コロナの影響で研究期間が延びてしまったが、何とか出版にこぎつけることが出来て安堵している。 研究課題である「英語時制・相と副詞に関する教材開発-自律的学習のためのハイブリッドメソドロジーー」の趣旨に即した教材制作を目指すことで出版社との合意も得ている。今回の研究を振り返ると、平成29年は主に文献調査に当たり、日本人英語学習者が時制(現在時制・過去時制)と相(単純相、進行相、完了相)の区別を明確に出来ていないのは、テキストの章立てが一因であると考えた。つまり、「進行形」、「過去形」、「完了形」の章立てだけでは、現在時制と過去時制、それぞれに対応する相に関して体系的に提示していない。過去進行形や過去完了形は附属のように紹介されているのみである。この点を踏まえ、本研究では独自のイメージ図を作成して実践授業を実施した。東京純心大学および法政大学の2校で、事前に応募した学生を実験群と統制群に分け、実験群の学生には独自に開発した教材を用いた授業を行い、統制群の学生には、従来型の文法説明を実施した。その前後に確認テストを行い、事後にはアンケートを実施した。統計処理の結果、実験群への授業において有意差が出たため、ハワイの学会で発表した。その後はテキスト出版に向けた教材準備に充てながら、学会などで最新の研究動向を確認した。
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