研究課題/領域番号 |
17K02953
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研究機関 | 京都外国語大学 |
研究代表者 |
谷村 緑 京都外国語大学, 外国語学部, 准教授 (00434647)
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研究分担者 |
吉田 悦子 三重大学, 教養教育院, 教授 (00240276)
仲本 康一郎 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (80528935)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | マルチモーダルコーパス / 相互行為 / 日英語対照 / 英語学習者 / 非言語情報 |
研究実績の概要 |
平成29年度は,言語情報,ジェスチャー,共同作業域を統合的に記述するための手法を検討した.特に,状況的認知論(サッチマン 1997;ハッチンズ 1995)に注目し,言語・非言語のリソースを駆使した,対話者らの知識共有過程に関する文献調査を行った.状況的認知論では,対話参与者らは,他者の活動をリソースとして参照しながら,次の自らの活動を決めると考える.つまり,参加者個々人が相互に参照しながら活動を組織化していく.本研究で使用している課題達成対話は,参加者双方の協力がなければ達成できないことから,どのように課題を達成しているかを多角的に捉えるのに適した理論といえる. また,パラ言語情報の研究のため,追加データとして,レゴ・ブロックを用いた多人数の課題達成対話データの収録を行った(日本語母語話者のデータと英語学習者のデータ).具体的には,発話のオーバーラップや相槌,発話開始のタイミングなど,会話に特徴的な現象の分析を行うため,各話者の音声を捉えるマイクと音声機器で音声を録音するとともに,それとは別にビデオカメラで作業場面の映像収録を行った.レゴブロックを使用した様々な先行研究の調査も行った。 平成30年3月に開催された社会言語科学会研究大会では,状況的認知論を援用して,日英語比較の観点から,課題の教示(directions)における情報構造の違いについて発表した.結果,日本語話者は,時系列に沿って,結果を最後に述べることが多いのに対して,英語話者では,時系列に沿ったものだけでなく,因果律を用いて,先に結論を述べ,そのあとで理由を付け加えるということが示された.この結果を論文としてまとめて成果を公表するために,現在準備を進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
文献調査に関しては,状況認知論に関する先行研究の調査を行った.また,レゴブロックを使用した様々な課題達成型会話の先行研究調査を包括的に行った.記述方法を確立するために,発話のオーバーラップや相槌,発話開始のタイミングに関する文献調査も進めている.追加データの収集は,ほぼ予定通り終了した.日程が合わなかった被験者に関しては,本年度収録する予定である.
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今後の研究の推進方策 |
今後,データの書き起こし作業を行う.また,文献調査結果を基に,発話のオーバーラップや相槌,発話開始のタイミングなどの記述方法を検討する.これらのデータの整理作業には多大な時間や労力が必要であるため,大学院生に作業を依頼して,進める予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
在庫がなく書籍の注文が間に合わなかった.次年度はそのようなことがないように,余裕を持って注文するよう心がける.
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