研究課題/領域番号 |
17K02955
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
山下 美朋 立命館大学, 生命科学部, 任期制講師 (20779029)
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研究分担者 |
山中 司 立命館大学, 生命科学部, 准教授 (30524467)
近藤 雪絵 立命館大学, 薬学部, 任期制講師 (30722251)
西澤 幹雄 立命館大学, 生命科学部, 教授 (40192687)
滝沢 直宏 立命館大学, 言語教育情報研究科, 教授 (60252285)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | アブストラクト執筆支援ツール / 英文ライティング支援センター / ムーブ分析 / ヒント表現 / 英文科学論文指導 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、「理系に特化した英語ライティング支援モデル」の基盤構築を行うことである。これは英語で論文を執筆する理系の学生・院生を対象とした支援モデルであり、1) 科学英語論文コーパスの構築と科学的な分析手法に基づいた語彙・表現リスト作成とツール化、それを生かした授業実践、並びに2)理系ライティングセンターの設立を目指した論文執筆支援サービスの提供から成る。申請期間内は主に1)に重点を置き、2) においてはセンター設立の基本体制を整える。1) では、論文に頻出する語彙、並びに論文の内容を理解するガイドとなるムーブ毎の定型表現を抽出し、更に日本人が犯しやすい語彙の誤用情報を搭載したリファレンス型の論文作成支援ツールの開発を行う。そして実際にツールを活かした授業を実践する。このツールは学生が提示される語彙と定型表現を頼りに大枠、論文を「自力で書ける」ようになることを目指す。また2) では、科学論文の専門性に対応する支援体制として、日本人英語教員、博士課程の院生、学科の専門教員、更に専門知識を持つ英語母語話者の校正者からなるサポート体制を作り、論文執筆の際の対面式の個別支援を行う。 以上の目的に沿い、1)では、29年度はライフサイエンス系論文約800本の「科学英語論文コーパス(生命科学系)」を構築し、論文のアブストラクトのムーブ分析とそのガイドとなるヒント表現の抽出とリスト化を行った。更に、30年度以降の研究目的としたアブストラクト作成支援ツールのプロトタイプ版「あぶすと!」を開発した(http://abst.pep-rg.jp/)。2)においては代表者が所属する立命館大学生命科学部でライティングセンターSAPP(Support for Academic Projects and Papers)を設立し、院生をチューターに雇用し、29年度180名の学部生に個別指導を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
29年度にアブストラクト執筆支援ツール開発のためのデータが揃い、30年に予定していたツールのプロトタイプ版ができたのは予定よりも早く順調な研究の進捗状況またそれ以上ではないかと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
30年度は当初の予定通りに集積した英語科学論文のアブストラクト部分のデータを精査すると同時に、論文の他のセクションの分析にまで着手する。更にヒント表現だけでなく、語彙のリファレンス部分のデータ分析を並行しツールに搭載する。また、実際に代表者が所属する立命館大学生命科学部の研究室の4回生が卒業研究の際にツールを使ってアブストラクトを書けるように指導を行う。学生に実際に使ってもらいそのfeedbackからツールをより良いものにしていく予定である。2)のライティングセンターでは、院生チューターの増員とトレーニング体制を整える。またチューター指導が実際のテキストをどう良くしているのかを分析しつつ、指導の質を高める予定である。専門分野の英語母語話者も雇用し院生のアブストラクトなどの指導も行う。これらの分析結果を学会で発表し先生方からの意見で更に支援を良くしていきたい。30年度Symposium of Second Language Writingのバンクーバー大会でこの支援について口頭発表予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
ツール開発に関わる費用が学内予算で賄うことができたことなどがあげられる。また29年度に予定していた学会発表を30年度の海外発表の旅費に充当するため29年度の旅費を控えたためである。
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