2017 年度実施状況報告書

デジタル教科書が英語学習活動に与える影響：視線計測を用いて

研究課題

研究課題/領域番号	17K02961
研究機関	福岡大学
研究代表者	奥田裕司福岡大学, 人文学部, 教授 (90258335)
研究分担者	長加奈子福岡大学, 人文学部, 准教授 (70369833) 川瀬義清西南学院大学, 文学部, 教授 (20108616)
研究期間 (年度)	2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード	視線計測 / 教育メディア / デジタル教科書 / 英語学習活動
研究実績の概要	本研究課題は、デジタル教科書と紙媒体の教科書という使用する教材の媒体の違いが、学習者の学習活動にどのような影響を与えるかについて、短期的観点と「学習者の慣れ」を考慮した長期的観点から調査し、学習者にとってより効果的なデジジタル教科書を作成するための要因を明らかにし、今後、教育現場への導入が進められるデジタル教科書について、特に視線移動の観点から学習者の認知パターンに基づいたデジタル教科書開発への提言を行うことを目的としている。当該年度の研究実施計画としては、（１）文献調査、（２）デジタル教科書に関する情報収集、（３）データ収集に向けた準備（調査資材の作成、学習効果を測定するための資材開発、初期パイロット調査）を挙げているが、初期パイロット調査のために、着実な文献調査と情報収集に基づいた資材開発を行い、調査を効果的に実施することができた。本調査の着実な実施に向けた初期パイロット調査の結果、学習効果を測定するための資材作成において多くの改良点を見出すことができた。具体的には、（１）視線計測を安定的に実施するためには、英語が書かれた媒体と被験者の頭部のズレを極力排除するために、頭部を固定する顎台が必要であるという点、（２）紙媒体での実験時とは異なり、デジタル教材で視線計測を行う場合、教材が映し出されるモニタの輝度・角度・解像度の設定等が正確な計測に影響を及ぼすという点、（３）視線計測を実施するにあたり、被験者に対してある程度の注意事項や「慣らし」の過程が必要であるという点等が、本格的なパイロット調査を実施するにあたり主な改良点として見出すことができた。
現在までの達成度 (区分)	現在までの達成度 (区分) 2: おおむね順調に進展している理由当該年度に達成すべき目標である（１）文献調査、（２）デジタル教科書に関する情報収集、（３）データ収集に向けた準備（調査資材の作成、学習効果を測定するための資材開発、初期パイロット調査）は、当初の計画通りいずれも順調に進んでいる。
今後の研究の推進方策	今後は、当初の計画通り、初期パイロット調査結果に基づき本格的なパイロット調査を年度前半で行い、その調査分析から更に調査資材の改良を加えることで、本調査に向けた確実な準備を進めていく。
次年度使用額が生じた理由	当該年度末に実施した初期パイロット調査での実験において、被験者の体調の具合により実施できなかった回があったため、その分当初予定していた人件費・謝金を下回った。その後、被験者の体調は回復しており、延期になった実験分を年度は変わるが次回実施することになっている。