研究課題/領域番号 |
17K02965
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
石崎 貴士 山形大学, 大学院教育実践研究科, 准教授 (20323181)
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研究分担者 |
園田 博文 山形大学, 地域教育文化学部, 教授 (10325590)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ストループテスト / 音声反応形式 / 第二言語習得 / 言語処理モデル |
研究実績の概要 |
第二言語学習者における母語と第二言語の処理の関係性について、ストループテストを活用して調べた先行研究では、主張の根拠とされている仮説をめぐってテストの結果に一貫しない部分もあり、理論的・方法論的な課題を指摘することができる。そこで本研究では、感覚的処理と認知的処理という2つの独立した処理概念を想定した理論的代案を提示し、新たな実験手法としてコンピュータをベースとした音声反応形式のストループテストを活用する。このテストを用いて、英語を第二言語として学んでいる日本語母語話者と日本語を第二言語として学んでいる中国語母語話者の大学生を対象に実験を実施し、その結果の比較・分析を踏まえ、代案についての検証を行う。本研究の実績として、初年度にあたる昨年度は、先行研究で主張されてきた内容の論点整理を行いながら理論的・方法論的な課題を明確化し、研究代表者が以前に実施した実験結果を再構成したパイロットスタディによって代案の適用可能性を検証した。これについては全国学会で発表し、その内容を論文にまとめて学会誌に投稿し採用された。また、研究分担者と共に台湾の銘傳大學の呉如惠先生を訪ね、台湾での実験実施に向けて打合せを行った。さらに、本研究の実験について、山形大学地域教育文化学部の倫理委員会に審査を申請し、同委員会より承認を得た。2年目に当たる本年度は、まず山形大学の学生を対象に実験を実施し、そこでの結果を全国学会で発表した。さらにその内容を論文にまとめ、学会誌に投稿し採用された。また、台湾での実験を実施する銘傳大學で開催された国際シンポジウム(國際學術研討會)の基調講演(專題演講)の講演者として招かれ、本研究のこれまでの途中経過について報告した。銘傳大學の学生を対象にした実験は、すでに開始しており、目標とした参加者数の半数まで終了している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
台湾の銘傳大學の学生を対象にした実験については、本年度中、予定の半数までしか実施できなかったので、研究は、若干、進行が遅れているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度にあたる次年度は、まず早急に銘傳大學の学生を対象にした実験について、残りの分を銘傳大學の呉如惠先生にお願いして年度をまたぐ形で実施していただく。銘傳大學での実験の結果を山形大学での実験の結果と比較・検証し、先行研究に対する代案として提案した言語処理モデルの適用可能性について考察を行う。そして、その成果を学会で発表し、さらに論文としてまとめたものを学会誌に投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) まず、台湾での実験実施に向けての現地研究協力者の先生との打合せが、予定よりもスムーズに進んだので訪問回数が少なくて済んだため。また、台湾の銘傳大學の学生を対象にした実験が、本年度中に予定の半数しか実施できておらず、台湾での実験実施をお願いしている研究協力者の先生や実験補助への謝金の支出が、予定の半分の額に留まっているため。 (使用計画) 次年度(最終年度)には、台湾での実験について残りの分を早急に実施し、研究協力者と実験補助に当該分の謝金を支出する。さらに成果発表に向け、台湾を訪れて打合せを行うための旅費や、台湾の研究協力者の先生を共同発表者として日本で開催される全国学会にお招きするための旅費として支出する予定である。
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