研究課題/領域番号 |
17K02966
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
内藤 稔 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 講師 (90507211)
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研究分担者 |
金田 拓 帝京科学大学, 総合教育センター, 助教 (10759905)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | コミュニティ通訳 / 子育て支援 / 在留外国人 |
研究実績の概要 |
現在行政では外国人住民を対象に、主に子育て支援の分野においてどのような情報提供を行っているのか、また現状どのような課題が存在しているのかを把握すべく、一年目の調査として、外国人住民の子育て支援に焦点を当てた教材に含めるシチュエーションの同定を試みた。日本の地方自治体等における子育て支援の場面での、コミュニティ通訳の活動実態を調査し、潜在的ニーズを明らかにすることが目的であるが、地方自治体やその外郭団体である国際交流協会、児童相談所など、対象を限定した局所的で詳細なニーズより、日本社会において俯瞰的な傾向を捉えることを目的として、調査規模を大きくとることを優先した。調査内容としては、支援における相談者のライフステージ、及び高頻度で相談を受けるトピックに関して頻度を質問した。調査方式はメーリングリストを利用したインターネット調査で、子育て支援に従事する通訳者やコーディネーター、総計87名の回答を得た。分析の結果、ライフステージでは就学児をもつ相談者が最も多く、次いで未就学児をもつ外国人からの相談が多いという傾向が示された。頻出するトピックはライフステージとともに変遷し、妊娠期は支給金に関して、未就学児(2歳未満)の段階では医療、それ以降の段階では保育園・幼稚園・小学校に関連した相談が多くみられた。養成教材を作成する場合、実務において高頻度で遭遇することの予想される、優先的に扱われるべきライフステージとトピックの組み合わせが存在することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一年目の目的はニーズ調査であったので、概ね達成された。全国の地方自治体や国際交流協会といった行政現場における多言語支援において、遭遇するシチュエーションには偏りがあり、教材化の際にはよくみられる組み合わせを意識することで効率化が図られることが示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
予定通り、一年目のニーズ調査によって得られた結果を基に、コミュニティ通訳教材を作成するにあたり必要な要素を抽出することを方針とする。例として一年目の調査によって、ライフステージ的に就学児をもつ外国人の相談が多く、またそれらは学校に関連したものが多いことが判明している。こういった高頻度で遭遇すると思われる相談に必要な、子育て支援に関連する条例やサービス、及び専門用語について調査を行なう予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究調査一年目のニーズ調査を行なう際、当初ヒアリングや質問紙による調査を行なう予定であったが、第一段階として俯瞰的な調査を行ない、その後詳細を明らかとする手順を踏むこととした。第一段階で行ったのはインターネット調査だったため、一部費用が未使用である。また、予定していた海外発表の開催地が日本となったため、旅費が一部未使用となった。今後は子育て支援に関する条例やサービス、及び専門用語に関する調査の費用として使用する計画である。
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