今期、3つある研究フィールドの内、日本(富山)における参与観察は完了し、データを整理して学会発表を実施し、論文にまとめた。一方、コロナ禍のために再度延長を申請し、北京・韓国(水原)への渡航を期待して研究をすすめたものの、結果的には延長したにも関わらず、現地への渡航は実現しなかった。このため、海外でのデータ収集は未完のまま本研究を終了せざるを得ず、課題点として残った。 最終年度は特に日本(富山)のフィールドにおけるデータ整理とそのデータの論文化を進めた。まず、参与観察後にNVivoに収めていたデータの逐語化と概念化を進めた。概念化したデータの解釈を2つの理論、すなわち複雑系理論と複線径路等至性アプローチにより読み取る作業を進めた。その成果を学会(JACET 2022)で口頭発表した。 口頭発表の結果を元に、本科研にて外国語学習の動機づけとして取り扱って来た複数の理論、すなわち、複雑系理論(CDST)活動理論(Activity Theory) 、複線径路等至性アプローチ(TEA)、Directed Motivational Currentについて、理論間の整理を行った。その際には、これら4つの理論に加え、L2 Motivational Self-System (L2MSS)を加えることにより理論整理の重厚化を図った。
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