研究課題/領域番号 |
17K02968
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
ZHAI YONG 静岡大学, 大学教育センター, 准教授 (50598498)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 照応表現 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は中国語と日本語の照応表現(anaphor, たとえば、日本語:「自分」、中国語:「自己」)の第二言語習得について比較研究する。照応表現において、中国語と日本語は同じ振る舞いをしている。一方、英語は中国語・日本語と異なる振る舞いをしている。中国語・日本語照応表現第二言語習得では、日本語母語話者・中国語母語話者のほうが英語母語話者より簡単に習得できるかどうか?つまり、第二言語習得には母語の影響があるかどうか?もし母語の影響があれば、いつ、どうして消えるのか?第二言語習得は母語習得と異なる振る舞いをしているかどうか?第二言語習得では普遍文法(Universal Grammar:UG)の原理は働くかどうか? 以上の疑問を解くため、平成29年度は英語母語話者中国語学習者(習得度により2グループ)、日本語母語話者中国語学習者(習得度により2グループ)、中国語母語話者を対象に調査を行った。中国語照応表現調査文の作成は非常に重要である。協力者は照応表現を解釈するとき、制約を使わずに無意識に知覚的方略を用いて照応表現の先行詞を決める傾向がある。それを避けるため、多項選択の調査文を作成した。また、照応表現の解釈に語用論の影響もあり、語用論により照応表現を解釈するのか、それとも、文法の制約により照応表現を解釈するのか、という統制用の調査文を入れた。また、今まで調査の対象になったことはない「他自己・ta自己(彼自身・彼女自身)」も調査文に入れた。この調査により、中国語照応表現習得において、母語と類似している文法を持つ日本語母語話者のほうが、母語と異なる文法を持つ英語母語話者より習得容易であるかどうか、もし容易であれば、その母語の影響はいつ消えるか、などの解明を目指しいてる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度は英語母語話者中国語学習者(習得度により2グループ)、日本語母語話者中国語学習者(習得度により2グループ)、中国語母語話者を対象に調査を行った。日本語母語話者中国語学習者、中国語母語話者の調査は計画通り平成30年度1月に完成した。しかし、英語母語話者中国語学習者を対象にする調査は、協力者が予期より集まらなかったので、平成29年度9月から平成30年度3月まで協力者募集を続けた。そのため、データのまとめ、統計は平成30年度4月から始まるので、計画より少し遅れている。平成29年度の研究成果は平成30年度の学会で発表し、論文を投稿する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は4月から7月まで照応表現中国語調査文と同じ形式である日本語照応表現調査文を作成する予定である。7月から8月まで、日本語照応表現調査文の自然さ調査を行い、不自然な調査文を修正し、最終調査文を作成する予定である。9月から3月まで英語母語話者日本語学習者(習得度により2グループ)、中国語母語話者日本語学習者(習得度により2グループ)、日本語母語話者を対象に調査を行う予定である。 英語母語話者日本語学習者の協力者の募集は難しいと予想している。募集期間を長くして、日本の大学とアメリカの大学で同時に募集する予定である。中国語母語話者日本語学習者の調査は中国の厦門大学で実施する予定である。厦門大学で日本語を専攻する大学生が多くて、調査協力者の募集は英語母語話者を対象にする調査より集まりやすいと予想している。日本語母語話者の調査は静岡大学で実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度中に18円で購入できるものがなかったため、平成30年度と合算して日本語照応表現習得の研究のための参考書を購入する。
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