研究課題/領域番号 |
17K02970
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
村尾 玲美 名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (80454122)
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研究分担者 |
江口 朗子 愛知工科大学, 工学部, 教授(移行) (30758602)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 平均連続認知語数 / 形態統語論的知識 / 定型表現 / 教育実践 / 英語リスニング力 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、英語学習者が保持する形態統語論的知識と定型表現の知識を反映する音韻的作動記憶の測定方法として、「平均連続認知語数」(MLPC: Mean Length of Perceptual Chunks)という新たな指標を提案し、英語リスニング能力との関係を分析することで、指標の妥当性について検証することである。本年度は第一に、大学2年生59名に対して筆記ディクテーションテストを行いMLPCを測定し、TOEICリスニングテストを実施した。回帰分析の結果、MLPCはリスニングテストの点を有意に説明した(調整済みR2=.31)。しかしながら、線形順序を考慮せずに聞き取れた単語数を数える採点法の方が寄与率が高かった(調整済みR2=.38)。両者には高い相関があったことから(Kendall’s tau = .77)、「語順を間違えながらも沢山聞き取れる学習者」や「内容語だけなど、飛び飛びで沢山聞き取れる学習者」はあまりいないと考えられる。MLPCは定型表現や統語の知識を反映すると仮定されるのに対し、聞き取れた語数はそれらに加え、単語の聞き取り能力や短期記憶力を反映すると考えられることから、MLPCが大きいほど聞き取れる単語数と一致し、小さいほど差が開く可能性がある。この研究成果は、平成29年度に収集した教育実践前後のMLPCの変化に関する研究成果と共に、全国英語教育学会第44回京都研究大会にて発表した。 第二に、リスニングスパンテストと産出テストを完成させた。現在、先の二つのテストと併せて新たにデータ収集を行っている最中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
プロジェクト2年目の平成30年度は、前期中に筆記ディクテーションテストとリスニングテストのデータを60名分収集し、同時にリスニングスパンテストと産出テストの作成を行った。後期には大学院生に対し、4種類(筆記ディクテーションテスト・文産出テスト・リスニングスパンテスト・TOEICリスニングテス ト)ないしは5種類(口頭ディクテーションテスト)のテストを実施することになっていたが、研究代表者が10月から産休に入ったため、研究を中断せざるを得なくなった。研究分担者は勤務校にて約20名からデータ収集を行ったが、データ処理等分析作業は研究代表者の育児休業があけてから行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年10月から平成31年6月末の間、研究代表者が産休育休のため研究を中断したため、1年間の研究期間延期を申請する予定である。平成31年7月以降、大学院生を対象としたデータ収集を再開する。10月からは大学生を対象としたデータ収集も行う。平成31年度は主にデータ収集とデータ処理を行い、平成32年度にデータ分析および研究成果の発表を国内外の学会や学術雑誌にて行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度に大規模な実験データ収集を行う予定であったが、研究代表者が10月より産休育休を取得したため、当初の計画を1年ずらし、平成31年7月より開始することとした。実験データは大学生および大学院生を対象に60名以上から収集する予定であり、次年度使用額の一部はこの謝金にあてる。実験に立ち会う監督業務が必要であるため、大学院のゼミ生を2名、短期間雇用パートタイム勤務職員として雇用し、データ処理作業も行わせる。パートタイム勤務職員に使用させるためのノート型パソコンも1台購入する。平成32年度には研究成果を発表するための海外渡航費として助成金を使用する。また、学術誌に投稿するための英文校閲費としても使用する。
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