研究課題/領域番号 |
17K02973
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
深澤 清治 広島大学, 教育学研究科, 教授 (00144791)
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研究分担者 |
鬼田 崇作 広島大学, 外国語教育研究センター, 准教授 (00611807)
山内 優佳 広島文化学園大学, 学芸学部, 講師 (40781365)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 中間言語語用論 / フェイス侵害表現 / 許容度 / 国際比較 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,不快感をもたらす表現(フェイス侵害表現)のうち先行研究で取り上げられなかった不平・不満の表現に焦点を当て,(1) 表現を英語で聞いた際の許容度が話者の母語によってどのように異なるか,(2) 教育的介入によって適切なフェイス侵害表現を教授できるか,の2点を明らかにすることである。これにより「英語母語話者と学習者間」のみならず,「母語の異なる英語学習者間」でのコミュニケーション研究における学術的・教育的成果を得る。 令和初年度(平成31年度)は,母語の異なる英語学習者による語用論的判断について国際比較を行うため,日本人英語学習者とタイ人英語学習者を対象にデータを収集した。研究対象の発話行為は,「苦情発話行為」とした。調査には,社会的地位の高低や対話者との心的距離の遠近が異なる4種類の状況が設定された談話完成テスト(discourse completion test:DCT)を使用した。DCTとは,被験者が各状況の説明文と対話者との未完成のダイアログを読み,自らがその状況においてどのように発話するかを考え,ダイアログの最後の発話を記述することによりダイアログを完成させるテストである。また,本研究では,「苦情」という対話相手に伝えにくい発話行為を研究対象とすることから,DCTにおいて「この場面では何も発話しない」(opt out)という選択も可能とした。分析の結果,日本人英語学習者はタイ人英語学習者に比べ,(1)心的距離の遠い対話相手に対してopt outを多く選択する傾向があること,(2)前置き(opening)のストラテジーを多用すること,(3)相手への同情(sympathy)を示す発言は少ないこと,(4)発話のパターンが定型的かつ限定的であること,などが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の完成年度にあたって,研究代表者がイギリスの研究者との打合せのための渡航を予定していたが,渡航を中止したため,研究計画の遂行ができなかった。そのため,研究期間を当初の予定よりも一年間延長することとなったため。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度においては,本研究プロジェクトの総括を行い,順次,研究成果の公表を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者が令和初年度(平成31年度)に予定をしていたイギリスへの渡航を中止する必要が生じ,一部の研究計画の遂行ができなかった。そのため,研究期間を当初の予定よりも一年間延長することとなったため。 研究成果を公表するための学会出張旅費および論文作成費に使用する予定である。
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