研究課題/領域番号 |
17K02979
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研究機関 | 城西大学 |
研究代表者 |
石川 正子 城西大学, 語学教育センター, 准教授 (10552961)
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研究分担者 |
鈴木 渉 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (60549640)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ランゲージング / アウトプット / 第二言語習得 / 外国語教育 / ライティング / 言語適性 |
研究実績の概要 |
「筆記ランゲージング」とは、外国語学習者が疑問に感じたことや自らの言語使用を書いて振り返ることで、言語に関する理解を深めるプロセスである。初年度は、様々な学習者要因の中でも言語適性が筆記ランゲージングに影響すると想定し、筆記ランゲージングと学習者要因の関係解明に取り組み、筆記ランゲージングが学習者の適性に関係なく学習を促進することを示唆する実験結果を得た。2年目は、言語適性と処遇(筆記ランゲージング)の交互作用には目標言語項目の難易度が影響すると想定し(Li, 2013)、初年度とは別の言語項目を用いて、事前テスト・処遇・事後テストのパラダイムで再度実験を行った。 主な結果は、筆記ランゲージングを行わないグループでは事前事後テスト間の伸びと適性の相関が多数観察されたのに対し、行ったグループではほとんど見られなかったことである。これは筆記ランゲージングが適性の低い学習者の学びを促進すること、つまり、レメディアル指導になり得る可能性を示唆しており、初年度の実験結果を支持するものとなった。これらの結果・考察はこの夏第45回全国英語教育学会青森研究大会で発表予定である。 また、筆記ランゲージングの量と質に注目し、事前事後テストとの相関関係を分析したところ、全体的に正の相関があること、量と質の間にも正の相関があることが観察された。つまり、豊かな筆記ランゲージングを行う学習者ほどよりテストの成績が高く、更には、筆記ランゲージングに励んで自分の考えを多く書くほど、理解が深まるということである。この結果はこの秋Symposium on Second Language Writingアリゾナ大会で発表する予定である。 更に、初年度の実験結果は、昨年度末アメリカ応用言語学会アトランタ大会で口頭発表を行い本研究課題の成果を広く発表するとともに、発表参加者から有意義な意見や助言を多数得ることが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究成果を国内学会・国際学会での口頭発表へとつなげられたから。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度にあたる今年度は、これまでの研究成果を教育現場で生かすべく「ランゲージングの教室実践への応用と長期的学習促進効果の解明」という課題に取り組んでいく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
以下の事由により、予算を平成31年度に繰り越した。
まず、設備や消耗品関係については、個人研究費等で購入したものを充てることができたため、当該科研費から支出しなかった。また、Yang教授の招聘は先方の都合によりかなわなかったため予算を繰り越すことになった。
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