研究課題/領域番号 |
17K02979
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研究機関 | 城西大学 |
研究代表者 |
石川 正子 城西大学, 語学教育センター, 准教授 (10552961)
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研究分担者 |
鈴木 渉 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (60549640)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ランゲージング / ライティング / 言語適性 / アウトプット / 第二言語習得 |
研究実績の概要 |
「筆記ランゲージング」とは、外国語学習者が疑問に感じたことや自らの言語使用を書いて振り返ることで、言語に関する理解を深めるプロセスである。1・2年目は、言語適性と筆記ランゲージング効果の関係を解明するための実験を行い、筆記ランゲージングが学習者の適性に関係なく学習を促進することを示唆する結果を得た。これは筆記ランゲージングが適性の低い学習者の学びを促進すること、つまり、レメディアル指導になり得る可能性を示唆している。これらの結果・考察は2019年8月の第45回全国英語教育学会青森研究大会で発表した。また、筆記ランゲージングの量・質と事前・事後テストとの相関関係の分析では、豊かな筆記ランゲージングを行う学習者ほどよりテストの成績が高く、更には自分の考えを多く書くほど、理解が深まるということが判明した。この結果は2019年11月のSymposium on Second Language Writingアリゾナ大会で発表した。 最終年度はランゲージングの教室実践への応用と長期的な学習促進効果解明を目指し、英語の授業時間の一部を使って事前テスト・処遇・事後テストのパラダイムで実験を行った。授業の最後にその日学んだ文法項目を含む英文の和訳(1・3週目)、又は文法説明(筆記ランゲージングと定義)(2・4週目)を全員に課した後、事後テストを実施し、翌週の授業の初めには遅延テストを行った。主な結果は、全ての週で事前テストよりも有意な伸びがあったが、筆記ランゲージングを行った週と行わない週には違いがほとんど見られなかったことである。また、筆記ランゲージングを行った2週の伸びにも差が見られた。これは筆記ランゲージングが学びを促進するものの、文法項目の難易度によって効果が変化することを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナウィルスの世界的広がりにより一部変更を余儀なくされたが、研究成果を国内学会・国際学会での口頭発表へとつなげられたから。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究で筆記ランゲージングに学習促進効果があることを明らかにしてきたが、今後はその効果を高めるために、「筆記ランゲージングの成立条件として学習者内外の要因の影響の解明」という課題に取り組んでいく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウィルスの世界的蔓延により国際学会が中止になるなどして、今年度後半に予定していた海外出張を中止せざる終えなかったため。情勢が正常化した時点で、実施予定である。
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