研究実績の概要 |
2017年度は、日本人学習者が英語の接辞の知識をどのように保持しているかについて調査を行った。 先行研究では、接辞と単語を組み合わせた状態で保持しているという説と、必要に応じて接辞と単語を組み合わせて使うために、別々に保持しているという説、さらに、それらの保持の仕方は二律背反ではなく、接頭辞や接尾辞のような、接辞の種類に応じて両方の状態が存在しているという説が提案されている。 本研究では、独自に開発した接辞知識テストを用いて、高頻度語と低頻度語のに対する日本人英語学習者の接頭辞の知識を測定した。接頭辞のみに焦点を当てた理由は、日本人英語学習者は動詞の屈折変化などを通して学習初期段階から接尾辞に触れており、接尾辞は「語に付加するもの」という見方ではなく、語尾を変化させた結果、様々な語に共通に見られる特徴であるという見方をしてしまっている恐れがあったからである。 接辞知識テストでは、non-, un-, in-, ante-, anti-, arch-, bi-, circum-, counter-, en-, ex-, fore-, hyper-, inter-, mid-, mis-, neo-, post-, pro-, semi-, sub-, pre-, re-の23の接辞に対し、高頻度語2語、低頻度語2語の合わせて4語を用意した。接辞の知識があれば、既知の語幹と接辞を組み合わせることが出来るという仮定のもと、テストではまず被験者に語幹の意味を提示した。その後、接辞語(接辞がついた語)の日本語訳を提示し、4択の中から、適切な英単語を選択させた。 接辞知識テスト(α= .83)の結果から、頻度の高い接辞語の正解率が低頻度語の正解率よりも高いことが明らかとなった。このことから、高頻度語はその出現率や使用率の高さから、接頭辞を付加した状態で保持されていることが示唆された。
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