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2018 年度 実施状況報告書

高度翻訳知識に基づく高品質言語サービスの研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K02987
研究機関明治大学

研究代表者

佐良木 昌  明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究推進員 (20770960)

研究分担者 河原 俊昭  岐阜女子大学, 公私立大学の部局等, 教授 (20204753)
阪井 和男  明治大学, 法学部, 専任教授 (50225752)
原田 康也  早稲田大学, 法学学術院, 教授 (80189711)
森下 美和  神戸学院大学, グローバル・コミュニケーション学部, 准教授 (90512286)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード品詞変数化処理による文型パターン対 / 文型の換言と英訳法 / フレーズパターン対 / 事柄の認知機序と情報配列の優先順位 / 翻訳知識を導出するための対訳への<註釈付与>
研究実績の概要

1 日英対訳文に対する品詞変数化処理によって文型パターン対を作成した。翻訳手法を文型パターン対から抽出する方法を試み、いくつか翻訳手法を析出することができた。
2 二重主格構文などの和文型の換言と英訳法、シテ形「VしてVする」の英語への翻訳法の開発に取り組んだ。2-1和文型の換言と英訳法との体系試案を作成した。2-2 シテ形接続の用言句と英語フレーズとのパターンデータを作成した。2-3和語動詞の漢語変換などの換言による多義解消方策を考案した。2-4オノマトペが表す感性的な表象、その意味するところを把握、その意味把握から適切な概念化と翻訳表現を創案することへ進むとの見解を明らかにした。
3 高度翻訳知識の獲得に必要な日英対訳データを作成した。3-1 高度な翻訳知識を導出するための対訳への註釈付与を実施した。3-2 日英対訳文について品詞変数化手法によりパターンを試作し、注釈データと照合しつつ翻訳技法の抽出を試みた。3-3 シテ形接続の用言句と英語フレーズとのパターンデータを、感情表現に絞って作成して未知の翻訳技法を抽出出来た。ナース英語や介護英語など具体的場面を想定してた場合、その場で求められるニーズに数量表現の正確にして精確な日英翻訳が必要であることが分かった。子供年齢制限や投薬量の上限などの表現に留意すべきであることが理解された。
5 事柄の認知機序、情報配列の優先順位、叙述順序という三つの機制があり、区別する必要がある。翻訳においては、5Wのどの情報が重要でどこに力点が置かれているのかという問題意識を正しく伝えるときには、原文の情報配列を尊重する翻訳手法が必要との知見を得た。文化的宗教的な異なりを含む表現を目標言語側に合わせて解釈的な翻訳した場合、その解釈は他文化理解とユニバーサルとの両方の観点から検討が課題であることを認識した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1 高度翻訳知識データベース編纂について、新たな知見を得ることが出来た。大規模に集めることの出来る対訳データは翻訳品質に問題があり量が無限に拡大しても質の向上は保証されない。逆に言え、高品質の対訳データが高度翻訳知識には欠かせないということである。高品質とは、意味的に深く検討がされた結果として翻訳技法がハイレベルになっていることを意味する。科研費によるシンポジウム「高度翻訳知識に基づく高品質言語サービスの研究」、および科研費合同研究集会:高度翻訳知識、言語環境・言語景観」を開催し、研究成果を公表した。
2 シテ形接続の用言句と英語フレーズとのパターンデータを作成した。そのうち、感情表現のみを取り出し品詞変数化処理によって文型パターン対を作成した。高品質な日英対訳に注釈を付与したデータを試作し変数化パターンへの準備を整えた。高度な翻訳知識を導出するための対訳への<註釈付与>を実施した。この英訳に評注を付けるのは容易ではなく、結果として少量の作業量となった。今後の目標は、数は少なくとも質の良い注釈データを作成することとする。
3 文の複雑度に応じた日本語の換言手法の研究について、1)二重主格構文などの和文型の換言と英訳法、2)シテ形「VしてVする」の英語への翻訳法の開発が進んだ。3)和語動詞の漢語変換などの換言による多義解消方策を考案した。
4 観光英語と言語サービスの関連性についての検討を進めた。
5 語用論的研究において、認知と表現との乖離という観点から、5W情報の記述方法に関して、いくつかの知見を得た。たとえば、人間の対象認知の段階では、時や場所の認知は前提的であって、その時その場に事が起るという認知機序がある。しかし、発話や文においては、当該言語の構造に規定され情報配列の機序が定まり、時・場所が主体・行為に先行/後続する。

今後の研究の推進方策

1 前年度に引き続き、高品質な対訳に注釈を付与する作業を実施する。1)ハイレベルの注釈データを作成する。2)前年度に引き続き、シテ形対訳パターンデータから翻訳手法の導出を試みる。
2 換言方式の定式化を進める。1)原因―結果・理由―結論・目的―手段の表現の換言と英訳の定式化に取り組む。2) 格助詞の多義性解消のための複合辞への換言と複合辞の複合前置詞への翻訳手法の開発を進める。3) 前年度に引き続き、慣用句の英訳、オノマトペの換言と英訳手法の研究を進める。
3 観光英語関連では、外国人への医療・保健サービスと言語サービスの研究を進め、急患対応に関して、場面別の会話を想定して、カード形式の日英両語の対応マニュアル(問答集)を作成する。
4 英語表現力の育成とコミュニケーションの場における創発力については、インバウンド時代における観光英語の授業を検討する。

次年度使用額が生じた理由

学会開催が年度末であるため参加費用の執行が前たおしになった。

研究成果

(18件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (10件) 学会発表 (8件)

  • [雑誌論文] 高度翻訳知識構築のためのデータベース編纂2019

    • 著者名/発表者名
      佐良木昌
    • 雑誌名

      科研シンポジウム予稿集

      巻: 1 ページ: 7-19

  • [雑誌論文] 高度翻訳知識構築のための言語データベース―対訳パターン記述による翻訳知識の導出―2019

    • 著者名/発表者名
      佐良木昌
    • 雑誌名

      電子情報通信学会技術研究報告

      巻: 118(516) ページ: 59-63

  • [雑誌論文] 従属接続詞による英語因由表現の諸相2019

    • 著者名/発表者名
      佐良木昌 宮澤織江
    • 雑誌名

      電子情報通信学会技術研究報告

      巻: 118(516) ページ: 65-70

  • [雑誌論文] 認知機序と5W 表現順序との言語間相違2019

    • 著者名/発表者名
      佐良木昌
    • 雑誌名

      電子情報通信学会総合大会予稿集

      巻: ? ページ: ?-?

  • [雑誌論文] 個別言語間の翻訳ギャップは如何に克服されるべきか2018

    • 著者名/発表者名
      佐良木昌
    • 雑誌名

      認知科学会大会予稿集

      巻: 35 ページ: 300-302

  • [雑誌論文] 詩(韻文)の形式美と機械翻訳の可能性2018

    • 著者名/発表者名
      河原俊昭
    • 雑誌名

      科研シンポジウム予稿集

      巻: 1 ページ: 65-70

  • [雑誌論文] 外国人集住都市の言語問題2018

    • 著者名/発表者名
      河原俊昭
    • 雑誌名

      日本語学

      巻: ol.37-9 ページ: 56-65

  • [雑誌論文] 多重知能理論とその大学教育への応用 ―アクティブ・ラーニング設計原理としての多重知能理論の可能性―2018

    • 著者名/発表者名
      阪井和男
    • 雑誌名

      電子情報通信学会IEICE Fundamentals Review

      巻: Vol. 11, No. 4 ページ: 288-287

  • [雑誌論文] 日本人英語学習者は未知の英語の食感形容詞を理解できるか?2018

    • 著者名/発表者名
      森下美和・原田康也
    • 雑誌名

      日本認知科学会予稿集

      巻: 35 ページ: 274-278

  • [雑誌論文] SF における語と指示対象の関係:意味の理論と翻訳可能性2018

    • 著者名/発表者名
      原田康也
    • 雑誌名

      科研シンポジウム予稿集

      巻: 1 ページ: 27-35

  • [学会発表] 言語データベース―対訳パターン記述による翻訳知識の導出―2019

    • 著者名/発表者名
      佐良木昌
    • 学会等名
      電子情報通信学会 思考と言語研究会
  • [学会発表] 従属接続詞による英語因由表現の諸相2019

    • 著者名/発表者名
      佐良木昌 宮澤織江
    • 学会等名
      電子情報通信学会 思考と言語研究会
  • [学会発表] 認知機序と5W 表現順序との言語間相違2019

    • 著者名/発表者名
      佐良木昌
    • 学会等名
      電子情報通信学会2019総合大会
  • [学会発表] Driving Student Success: Engagement and Outcomes for the Digital Age2019

    • 著者名/発表者名
      阪井和男
    • 学会等名
      Cisco Systems Inc.,Digital Summits at Cisco Live 2019
  • [学会発表] 個別言語間の翻訳ギャップは如何に克服されるべきか2018

    • 著者名/発表者名
      佐良木昌
    • 学会等名
      認知科学会第35回大会
  • [学会発表] お雇い外国人と日本の教育2018

    • 著者名/発表者名
      河原俊昭
    • 学会等名
      戸田市民大学
  • [学会発表] A Quest for roles of English Textbooks at the Primary Level: Enhancement of Multilingual Awarenessv2018

    • 著者名/発表者名
      河原俊昭
    • 学会等名
      International Conference on Applied Linguistics & Language Teaching (2018 ALLT)
  • [学会発表] 食感のオノマトペ・ワークショップ:食文化の固有性・共通性から考える翻訳可能性2018

    • 著者名/発表者名
      原田康也・森下美和・平松裕子・福留奈美・佐良木昌
    • 学会等名
      日本認知科学会第35回大会

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公開日: 2019-12-27  

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