研究課題/領域番号 |
17K02996
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
名部井 敏代 関西大学, 外国語学部, 教授 (20368187)
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研究分担者 |
吉澤 清美 関西大学, 外国語学部, 教授 (80210665)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | フォーカス・オン・フォーム / ランゲージング / メタ言語的意識の高揚 / 社会文化理論 |
研究実績の概要 |
認知的アプローチをとる第二言語習得研究の枠組みで用いられる、本研究の焦点「フォーカス・オン・フォーム」を、より複合的な視点で第二言語習得を考察する社会文化理論の枠組みで捉え直し考察を深め、そうした「フォーカス・オン・フォーム」を、リーディング授業で効果的に展開する指導法を考案・実践して、一つのモデルを提案することが本年度の目標であった。特に、「フォーカス・オン・フォーム」という概念は、第二言語学習に向けた指導中のメタ言語的意識の操作を意味しており、社会文化理論の枠組みでのメタ言語的意識の高揚方法として、この理論が重視する学習者同士の対話、つまりランゲージングが妥当と考え、それを用いたリーディングの指導の構築を目指した。リーディングは、受動的な技能であるため、スピーキングやライティングのような能動的技能に比べ、学習者のメタ言語意識を高揚させることが難しいと考えられ、リーディング授業でのランゲージングの導入は意義があると考えられる。 残念ながら2020年度は、新型コロナウイルス感染症予防対策として、春学期は、研究現場となる大学授業が従来の対面授業から遠隔授業に変更となった。このため、目標としていた、フォーカス・オン・フォーム/ランゲージングを応用したリーディング授業の考案と実践データの収集は、9月以降まで待つことになった。対面授業期間に行ったランゲージングを用いた活動のデータ収集も、感染症予防対策のため学習者の密な接触や対話が制限されていたため、限られたものとなった。対話の録音ではなく、授業中の学習者による振り返りの筆記記録という形態ではあるが、分析・考察の対象となるデータは収集できた。今後、この限られたデータをもとに考察を深め、メタ言語的意識の高揚やそれを促す指導方法案を提言できるようまとめたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症のため、2020年4月からの春学期はこれまでと全く異なる事態への対応や学内業務の遂行に多くの時間がとられ、研究に割ける時間が全くなかった。また、春学期期間は、遠隔授業が行われることになり、計画していたリーディング授業・指導法の研究は、遠隔授業への応用ができず、対面授業が可能になった秋学期まで延期されることになった。以上の理由から、研究は大幅に遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
研究の遂行の1年延長を認めていただいた2021年度だが、研究の場となる大学教育現場は相変わらず新型コロナウイルス感染症の影響を受けている。2020年度に計画していた社会文化理論の枠組みでのメタ言語的意識高揚を促す指導の構築 、つまり「フォーカス・オン・フォーム/ランゲージング指導」は、対面授業を想定していたが、対面授業の時間がどの程度取れるか不透明である。 こうした事態を鑑み、実践データは2020年度秋学期に限定的に収集できたものを本データとして分析・考察し、論文報告を年度内に行う計画で推進する。また、対面授業が可能で、追加・補足データが収集できそうな事態となった場合は、それを計画に加え、より充実した分析を行いたいと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症のため、当初の計画通り研究が遂行できず、助成金も使用できなかった。 2021年度の2,013,861円使用額は、(1)これまでに収集できているデータ分析と考察に関わる人件費・謝金(分析の補佐としての大学院生アルバイト、専門知識提供に対する謝金)、(2)論文執筆・発表に関わる謝金(専門知識提供)・学会参加費、(3)その他、物品費に用いる計画である。
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