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2019 年度 実施状況報告書

多読授業における疑似初心者の英語文法発達―動的用法基盤アプローチ

研究課題

研究課題/領域番号 17K03000
研究機関広島修道大学

研究代表者

戸出 朋子  広島修道大学, 人文学部, 教授 (00410259)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワード多読用児童用図書 / 検定済み教科書 / 頻度 / 用法基盤モデル
研究実績の概要

多読用教材として使われている英国児童用図書と中学校検定済み教科書で用いられている主語を,用法基盤モデルを援用して頻度分析を行った。児童用図書と検定済み教科書それぞれで,ステージが進行するにつれて学習者はどのようなタイプの名詞類をどれぐらいの頻度で主語として経験することになるのかを探った。具体的には,1) 主語主要部が普通名詞か固有名詞か,代名詞かという観点でタイプ分けし,その頻度がどう変わるかを見た。加えて,主語名詞類と述語動詞の意味的関係において,2)一致的かメタファ的かという観点でタイプ分けを行い,その頻度がステージごとでどう変わるかを見た。その結果,明らかになったことは,児童用図書が,主要登場人物の固有名詞や代名詞を高い頻度で主語として用いているのに対し,検定済み教科書では,固有名詞主語は非常に限られていた。どちらの図書でも,普通名詞主語は,徐々に増加していくが,児童用図書では指示対象を具体的に特定できる用法で占められているのに対し,検定済み教科書は指示対象が特定できない一般的な用法を早い時期から多く用いていた。また,児童用図書では,同じパタンの繰り返しの中で,メタファ的表現がさりげなく導入されていたが,検定済み教科書では,同一表現の繰り返しはなく,メタファ的表現が比較的高い頻度で突然用いられていた。児童用図書との比較で,検定済み教科書編纂に対して示唆できることは,英語の典型的な事態認知を具体的な世界で直接的に学習者に体験させる入力の整備が必要だということである。また,児童文学などの文学的教材の価値を見直すことも提起したい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定していた通り,多読指導で使用した図書のテクスト分析を行い,学会発表及び論文発表を行った。また、前年度に引き続いて筆記データの分析も進行中である。

今後の研究の推進方策

上記進捗状況の欄で記した筆記データの分析を完成させる。また,本研究の理論的枠組みである用法基盤アプローチの第二言語習得研究について,本研究の成果を織り込みながらまとめ,10月に予定されている日本第二言語習得学会で講演を行う。

次年度使用額が生じた理由

米国フィラデルフィアで開催された学会Literacy Education and Second Language Learning for Adultsに出席したが,米国に在外研究中だったため,学内の規定により旅費が支給されなかった。2021年3月に米国ヒューストンでのAmerican Association for Applied Linguisticsへの旅費や英語論文校正料として使用するつもりである。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 中学校検定済み教科書における主語ー用法基盤モデルを援用した頻度分析ー2020

    • 著者名/発表者名
      戸出朋子
    • 雑誌名

      中国地区英語教育学会誌

      巻: 50 ページ: 79-90

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Leveled Readersは如何に主語習得を促すかー事例基盤習得の見地からのテクスト分析ー2019

    • 著者名/発表者名
      戸出朋子
    • 学会等名
      JACET,文学研究会多読セミナー
  • [学会発表] 言語分析力の弱い学習者に必要なテクストとはー事例基盤主語習得に焦点を当ててー2019

    • 著者名/発表者名
      戸出朋子
    • 学会等名
      第50回中国地区英語教育学会広島研究大会

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公開日: 2021-01-27  

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