英語と類型的に異なる日本語の影響で,英語の主語の習得には困難が伴う。「具体的な言語事例をユニットとして処理し繰り返す中で文法が創発する」とする用法基盤言語学に依拠すると,入力中の事例の質と量が重要で,教育アプローチとして多読が挙げられる。本研究では,多読図書のテキストの頻度分析と多読に取り組む高校生が多読後に行う筆記産出の分析を行った。 多読用図書は,指示対象を具体的に特定できる用法で始まり,同じパタンの繰り返しの中で,徐々にメタファ的表現に移行するという理想的な入力源であることが示された。多読後の筆記では,入力事例を取り入れながら,事例基盤的な発達が見られ,レパートリーの広がりが見られた。
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