研究課題/領域番号 |
17K03003
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
笠原 究 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (50439006)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 英単語テスト / 語彙習得 / リスト学習 / 学習負担 / 学習間隔 |
研究実績の概要 |
実験1として,学習者に80語の英単語を2度ずつ学習してもらった。1つのグループには10個の英単語と日本語訳のペアを渡し,2分半の間単語の意味を覚えさせた。この学習セッショを1時間後にもう一度繰り返した。8週に渡って計80語を学習してもらった。別グループには一回に20語の英単語と日本語訳のペアを渡し,5分間単語の意味を覚えさせた。この学習セッションを1週間後にもう一度実施した。8週に渡りグループAと同じ80語を学習してもらった。遅延テストの結果,20語を1週間の間隔で学習したグループBのほうが保持率が高かった。語数が多く,間隔が長いほうが効果的であることが示唆された。 しかし実験1には1度に学習する単語数と間隔の長さという2つの変数があり,どちらがより強く結果に影響したのか不明である。そこで実験2では1度に学習する語数のみに焦点を当て,検証を行った。毎週10語の英単語と日本語訳のペアで意味を覚えたグループと,2週毎に20語の英単語と日本語訳のペアで意味を覚えたグループを比較した。どちらのグループも同じ100語を10週に渡って学習したことになる。事後の遅延テストでは,20語を一度に学習したグループのほうがより高い語彙の保持率を示した。ある程度の語数を確保して学習負担を大きくした方が長期記憶には効果的であることが示唆された。 続く実験3では,間隔のみに焦点を当てた検証を行った。同一参加者に対し,20語の英単語と日本語のペアを1時間の間隔で2度学習してもらう条件と,別の20語の英単語と日本語のペアを1週間の間隔で2度学習してもらう条件を比較した。遅延テストの結果,1週間のインターバルの方が保持率は高かった。以上の実験から,単語テストの際に学習負担が軽すぎるのは良くないこと,2回の学習機会にはある程度の間隔をあけるべきだと判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目に計画していた実験を予定通り実施し,分析も終了した。追加で2つの実験も行うことができたため,計画通りに研究は進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
1年目は順調に研究が進んだ。2年目からは,研究代表者がある外部プロジェクトに関わることになったため,前期に実験を行うことが難しくなった。そのため,当初計画していた実験規模を縮小し,実現可能な研究デザインを前期に策定し,後期に実際の実験を行うことにする。予定通り「単語テストと復習の順序」についての実験を,後期の一般英語クラス2クラスの協力を得て実施する予定である。
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