研究課題
1. 英語教育における垂直尺度化のための測定技術の検討英語教育では、正誤で採点する2値データに加えて、段階評価による多値データが多用される。多値データの垂直尺度化について研究を進めていくために、研究1年目の平成29年度は、英語の「書くことに関する調査」(国立教育政策研究所、平成22年11月、全国の国公私立中学から無作為抽出された101校に所属する中学3年生3,225人にペーパーテストと質問紙調査)のデータ分析に取り組んだ。ライティングのテスト、及び英語学習に関する意識調査項目への回答は、多値データとして段階評価が行われている。そこで、項目応答理論の中で、多値データを扱う段階反応モデルを用いて項目分析を行った。性別、及び、学校の所在地域の規模・校種別の下位集団においても分析を行い、結果の比較を行った。あわせて、特異項目機能(differential item functioning : DIF)の分析も行った。特異項目機能とは、テストが測定しようとする能力や特性が等しいにも関わらず、特定の項目で所属する下位集団によって正答率に違いがみられる状況をいう。性別と学校所在地域の規模・校種の観点から、段階反応モデルを適用してDIF分析を行ったところ、複数のテスト項目・質問紙項目でDIF項目が見つかったため、それらの特徴を考察した。高校生英語学力テストデータ(2値データ)の年度間等化に関する研究を更新した。2.学習到達目標の垂直尺度化による妥当性の検証附属鎌倉中学校を対象に、「CAN-DOリスト」形式での英語科における3年間の学習到達目標を設定過程を明らかにし、目標の達成状況を、どのように評価し、指導の改善に活かそうとしたかを、実データに基づいて検討した。その結果を、次年度の学習到達目標の設定に活かしていくことにした。
2: おおむね順調に進展している
交付申請書に記載した、1年目の課題がほぼ達成できた。研究成果を、学会(国内学会3件)や論文(国際誌、及び、紀要)で発表することができた。
1.引き続き、英語教育の学習到達目標に関する多値データの分析を行い、垂直尺度化を行い、交付申請書に記載をした2年目の課題である、学習到達目標の垂直尺度化による妥当性の検証を行う。2.学習到達目標とタスクの対応付けの検討も始める。
海外の学会出張が校務との関係でできなかった。リサーチアシスタントを採用する予定であったが、1年目はなしで進めた。H30年度は、海外での学会発表及びリサーチアシスタントを採用する計画である。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)
横浜国立大学教育学部紀要. I, 教育科学 = Journal of the College of Education, Yokohama National University. The educational sciences,1
巻: Ⅰ ページ: 58、75
Language Assessment Quarterly
巻: 14(3) ページ: 257、273
https://doi.org/10.1080/15434303.2017.1368518