研究課題/領域番号 |
17K03006
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
岡崎 浩幸 富山大学, 大学院教職実践開発研究科, 教授 (20436801)
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研究分担者 |
加納 幹雄 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 教授 (70353381)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 授業研究 / 省察 / 英語教師の成長 / 事後検討会 |
研究実績の概要 |
効果的な省察は授業改善と教師の専門的成長の推進に不可欠な要素であると考えられている。今年度研究を二つ実施した。一つは英語教師が自己の授業改善のためにどのように省察しているかを明らかにした。32名(中学18名、高校14名)の英語教師から、次の3つの質問に対する自由回答を得た。3つの質問は、1英語授業の良否を確認するのに自分の実践をどのように振り返っているのか、2授業や言語活動の良否にかかわる要因は何か、3何を拠り所にして授業改善に取り組んでいるのか、である。教師の自由記述から中心となるテーマなどを抽出するために内容分析と計量テキスト分析を用いた。結果として、主に活動中の生徒の反応、パフォーマンスや授業の目的がどの程度達成されたのか、生徒が授業中にどの程度英語を使ったのかなどに基づいて省察が行われていることがわかった。また授業や言語活動の良否は、主に適切な授業準備や目標設定、生徒理解の深さに左右されることも分かってきた。さらに、教師の多くは先輩教員や同僚に改善のアドバイスを求めたり、書籍、インターネット、公的や自主研修への参加を通して自分の授業実践に改良を加えていることも分かった。 二つ目は英語教師の授業研究(事後検討会)でどのような発言がなされているのか、どのような発言が教師の学習や成長に繋がっているのかを分析した。その結果、主に1生徒の発言や行動などの事実確認やその内容や意義について解釈した発言、2教師のとった方略(手立て)や生徒への対応についての事実や解釈した発言、3問題点の指摘、4代案の提示、5授業の見方やあり方に関する視点の確認に関する発言であることが明らかとなった。その結果を基に成長につながる省察はどうあるべきか、と授業研究(事後検討会)において協働での省察が単独の省察よりもどのような点において効果が上がるかについて提言を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
附属中学や県内の研究拠点校の4高校で実施される授業研究(英語科授業検討会)の英語教師の発言データが取れたため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度も昨年度に続き、授業研究(事後検討会)における参加教師の発言はどのような形式でどのような内容なのかを分析する。その分析から教師の成長、授業改善に結びつく発言や気づきなどを明らかにして授業研究の効果的な企画運営方法を探っていく。そのためには、検討会後に検討会を通しての教師の学習や学びは何だったのか、今後の自分の授業にどのように生かしていけるのかについて、非授業者にインタビューなどを通して明らかにしていく。 同時に、英語教師がどのように自分のあるいは他者の授業の課題を捉え、どのように改善案を考え出し、新たな実践を行っていくのかについても明らかにしていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
日程の都合で国際学会の発表ができなかったために、国内旅費のみに支出した。
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