研究課題/領域番号 |
17K03006
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
岡崎 浩幸 富山大学, 大学院教職実践開発研究科, 教授 (20436801)
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研究分担者 |
加納 幹雄 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 教授 (70353381)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 授業研究 / 省察 / 授業後の協議会 / 教師の成長 |
研究実績の概要 |
17年度は個々の英語教員が授業改善のためにどのように省察を行っているのかを調査した。18年度は授業後の協議会において参観者がどのような発言をしているのかその特徴や、どのような省察が教師の成長につながるのかを質的、量的な分析で明らかにした。授業後の協議会における英語教師の発言の量的な特徴としては、以下2つの特徴があった。教師の発言は2つのカテゴリー、生徒に関するコメントと教師の関するコメントに分かれた。それぞれのカテゴリーは概ね教師(生徒)の言動に関する「肯定的コメント」、「問題指摘」、「代案提示」の3つからなっていた。さらに教師の発言の7割以上が教師の言動に関するもので、わずか7%が生徒の言動に関するものであった。授業後協議会の発言の内容や教師の学びを質的(SCAT)に分析した結果、次の点が明らかとなった。 ・問題点を指摘する際には、その理由や根拠も添えて代案を提示している。・教具の使用や指導方法について参観者が異なる角度から見ることでその効果について異なる解釈は教師の授業の捉え方を広める。・参観者は授業者の思いに寄り添いつつ、自己の状況に置き換えて代案を提案している。・他の授業の良さを確認することで、自己の授業の問題を客観的に捉えることができるようになる。 非授業者らは授業者の様々な指導法や手法から自己の授業に置き換えて効果的な指導法や生徒の動機向上などを学び、授業者に寄り添った代案を提示している。協議会から一つの活動や生徒の行動でも様々な視点から異なる解釈が可能となることに気付いている。 以上の結果から、教師は他の教師の視点から異なる視点を得て、生徒の言動に基づく省察から、生徒の学びに役立つ授業づくりの重要な要素に気づいている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究成果について3回発表を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
18年度、授業後の協議会における教師の発言の特徴や学びが明らかになってきた。19年度では、学びを深めるための協議会の持ち方を検討する。つまり、どのような省察が授業改善や信条の変化に影響を与えるのかを明らかにしていく。具体的には、参観の仕方(教師の指導よりも子どもの学びの中心にみるなど)を、協議会の持ち方の原則(子どもの学びののプロセスを中心に語り合うなど)の徹底が今後の授業改善や教師の信条の変容に影響を与えるのかを探求する。 また、協議会の話し合いにコルトハーヘンのALACTモデルで用いる「8つの問い」を意識し用いることで教師の学びがどのように深まるのか、授業改善や信条の変化に影響を与えるのかも研究する。
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次年度使用額が生じた理由 |
分担者との打ち合わせがメール等で済ませすることが多く打合せ回数が減ったためと、全国の発表会に分担者の都合がつかず1名の参加発表となったため。
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