2022年度もコロナの影響で、高校英語科で授業研究及び授業後協議会が開催されず、新たなデータを基にした分析を行うことはできなかった。そのため、過去の授業後協議会の英語教師の発話データを質的分析ツールSCATを用いて分析し、参観者の英語教師が授業後協議会を通して、何を学習し、今後に生かそうとしているのかを明らかにした。授業参観者には、授業の参観方法や協議会での発言の仕方について次のことを留意するよう協力を求めた。1生徒の学びの姿に焦点を当てて参観する。数人の生徒の学びに注目し、学びが成立している場合や成立していない場合について、付箋に生徒の様子などについてメモを取る、2協議会では、自分の経験に基づいて発言するのでなく、あくまでも生徒の姿(英語の発話、つぶやき、躓いていた場面など)に基づいて語るようにする。以上のことを踏まえた上で、授業について語り合った英語教師の発話をSCATで分析し、浮かんできたストーリーラインからわかってきた教師の共通の学びと考察を述べる。 ほとんどの参観者は授業者の目標、願い、悩みに寄り添って、改善案や代案を提示し応えていた。このような経験は自己の課題や悩みに対しても生徒の姿に基づいて、改善案を考案しようとする態度の形成に結び付くと考えられる。参観した授業の課題(生徒の学びが成立していない場合)を指摘する場合も、生徒の姿の事実に基づき、その原因と代案を提示していた。これは自己の授業の課題にもメタ認知的に取り組み、原因を分析し、生徒の目線から生徒のための授業改善に取り組むことができるようになる。また、生徒の学びが成立している点においても、生徒目線から、生徒の活動への意欲や取り組みやすさの観点から、教師が行った授業の活動を評価できているため、授業者も参観者の生徒目線のコメントから、自分の気づいていない点から学びが深まっていた。
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