研究課題/領域番号 |
17K03017
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研究機関 | 目白大学 |
研究代表者 |
前田 ひとみ 目白大学, 外国語学部, 准教授 (30458575)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 個人別態度構造分析 / 異文化観の変容 / 留学 / 異文化理解能力 |
研究実績の概要 |
パイロット調査では、短期留学が学習者に与える影響として語学力の向上に関する学びが上位を占めるのではと推測していたが、個人別態度構造分析により抽出された学びの多くは異文化適応能力に関する項目であり、被験者に共通する短期留学での学びとして、①自文化への理解と気づき、②他文化への理解(宗教・異文化に暮らす人々に対する理解等)が最多を占め、また学習者自身の人間的成長に関連した項目も多く表面化していた。しかし語学に関する学びはほとんど表出しなかった。その理由として、海外で生活している以上、コミュニケーションのベースとして英語(語学)は常にそこにあり、“道具として特別視せずに存在していた可能性”があり、短期留学が与えた影響として表出しなかった可能性を指摘したい。もしくは語学に関する学び以上に、その他の学びが濃く、表出した優先順位に影響を及ぼしている可能性もあり、これらの以前の研究成果も踏まえ、研究初年度にあたる平成29年度は、短期留学が学習者に与える影響、留学の教育的効果、異文化観の変容に関連する適切な知識習得のため、先行研究の調査を丹念に行った。またデータ収集としては短期留学が学習者に与える影響という視点から短期留学予定者に対しての異文化観に関する聴き取り調査とデンドログラムによるクラスター分析を実施した(内容は自由連想、連想項目間の類似評定、類似度距離行列によるクラスター分析、被験者によるクラスター構造のイメージや解釈の報告、研究者による総合的解釈を通じて個人別に態度や構造を分析する質的・量的な調査)。さらに、短期留学から帰国した学習者に対して、異文化観の変容と留学の与えた影響(短期的影響)に関する聴き取り調査とクラスター分析を行った。予定していた29年度の研究内容は順調に実施済である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りにデータ収集を行った。なお本研究のデータ収集であるインタビューの人数は当初予定より少し多めに実施した。
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今後の研究の推進方策 |
29年度調査の知見をもとに「学びの意識化フレームワーク」の仮構築を行い、29年度と同様に30年度留学予定者に対しても異文化観に関する聴き取り調査とクラスター分析を行う。更に、短期留学が学習者に与える長期的な影響を調査するため、29年度に留学した学習者帰国1年後に再度、聴き取り調査とクラスター分析を行う。また30年度留学帰国者に対して異文化観に関する心象の分析と短期留学が与える影響に関する聴き取り調査、及びクラスター分析を行う。またこの段階で、仮構築した「学びの意識化フレームワーク」のパイロットテストをスタートし、研究2年目はこれら4段階で研究を継続する。研究2年間の成果予定としては、留学前後の異文化観の変容のデータ収集と分析、短期留学が学習者に与える短期的影響と長期的影響に関するデータ収集と分析、及び学びの意識化フレームワークの仮構築、の3点となる。
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次年度使用額が生じた理由 |
29年度は未就学児の子育てにより国内出張や発表を断念した。30年度は国内での学会発表を予定している。
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