研究課題/領域番号 |
17K03017
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研究機関 | 目白大学 |
研究代表者 |
前田 ひとみ 目白大学, 外国語学部, 准教授 (30458575)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 個人別態度構造分析 / 異文化観の変容 / 留学 / 異文化理解能力 |
研究実績の概要 |
平成30年度は学生18名を対象に留学による「短期的影響」と「長期的影響」を個人別態度構造分析により要素の抽出と学びの構造を把握することを試みた。延べ100回以上にわたるインタビューの結果、留学直後の調査(短期的影響)では25クラスター表出し、クラスターの内容による纏まりを「認知・知識面」、「精神面」、「語学面(英語)」、「行動面」の4つに分類した。また帰国して1年後に実施した調査(長期的影響)では25クラスター表出し、そのうち「認知・知識面」に関するものは7クラスター、「精神面」は3クラスター、「語学面(英語)」は0クラスター、そして「行動面」は15クラスターが分類された。留学による「短期的影響」では文化に対する「認知・知識面」に関するものが最多を占め、「長期的影響」では「行動面」が最多を占め、「語学面」が消滅したのは興味深い結果となった。本調査はまだ継続段階ではあるが留学の影響は短期的に見ると主に“異文化に触れることにより個人の文化的気づきと知識の深化、異文化理解に関する認知・知識面”に多くの影響を及ぼしたことがうかがえる。長期的な影響としては留学直後の海外に関する知識や経験に関する「認知・知識面」が個人の中で知識として留まることのみならず、思考から個人の行動パターンへと幅広く影響を与えるためか、“積極的になった”、“自信がついた”等、具体的な事例とともに個人の「行動面」が変化した様子が浮き彫りとなった。留学は、まず個人における知識や認知面、意識や価値観に影響を及ぼし、それら思考に与える影響により、1年をかけて個人の行動の変化を引き起こしているといえ、本研究において使用した個人別態度構造分析は、個人の経験の中で得た異文化の知識や経験が1年をかけて長期的に被験者にどの側面で影響を与えたのかという様子が可視化される役割を担ったといえる。30年度の研究内容は順調に実施済である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りにデータ収集を行った。なお本研究のデータ収集であるインタビューの人数は当初予定より少し多めに実施した。
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今後の研究の推進方策 |
30年度調査の知見をもとに「学びの意識化フレームワーク」の仮構築を行い、長期的影響に関して聴き取り調査とクラスター分析を行う。また仮構築した「学びの意識化フレームワーク」のパイロットテストをスタートしたい。研究3年間の成果予定としては、留学前後の異文化観の変容のデータ収集と分析、短期留学が学習者に与える短期的影響と長期的影響に関するデータ収集と分析、及び学びの意識化フレームワークの仮構築、の3点となる。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会がメキシコで開催され治安の面で不安だったため、31年度にずらした。31年度はアメリカで開催される学会で口頭発表をする。
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